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なぜ多い夏休み明けの自殺
子どもの変化に気を付けて

原因・動機別の自殺死亡率
 夏休みの終わりを迎えると増加するとされる小・中学生へ高校生の自殺。このため各地の自治体や学校、市民団体などは電話やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などを活用しての相談を充実させるなどの対策を強化している。しかし、「自殺をしようと考えている状態に陥っている人に気づき、適切な対応を取るのは専門の精神科医でも難しいことが多い」との指摘もあり、簡単に解決できる問題ではない。それでも、保護者や教師が児童・生徒の言動の変化に注意し、積極的に声をかけていくことが大切だ。

 ◇精神医療的治療、必要な場合も

 警察庁によると、国内の自殺者の総数は2003年の3万4427人をピークに、14年には2万5427人に減った。年齢別での死亡数の比率も多くの年代で低下しているが、19歳以下は2%前半という数字に変化はない。一方、自殺の原因・動機別で見ると、学業不振や進路の悩みなどの「学校問題」が30%以上で最も高い比率を占めている。

井上猛東京医科大学教授
 東京医科大学病院メンタルヘルス科で診療に当たる井上猛教授は、この傾向について「小・中学校、高校では家庭と学校が生活に占める比率が極めて高い。大学に進学したり、就職したりすれば、キャンパスや職場など多くの世界と触れ合うようになり、家庭や学校の比重は低下する」と分析する。

 親しい友人と仲たがいする。学校や成績のことで悩む―。さまざまな経験を積んだ大人にとっては「それくらいのことで」と思えるような事柄でも、この世代には大きな「喪失体験」としてストレスを生じさせる。井上教授は「世界保健機関(WHO)は自殺者の60~90%が精神的に病んでいる状態だった、と報告している。もともと思春期で心身ともに不安定な状態に置かれている子どもたちの中には、自殺したいという衝動に至らないまでも、抑うつ感や不安感など精神医療的な治療を必要としている状態にいる事例が少なくないのではないか」と言う。

 ◇親や教師だけでは対応不能

 うつになったり情緒が不安定になったりする。あるいは適応障害などストレスに起因する病気だけでなく、10代から30代に発症が多発する、非常に積極的な短期間の状態と長期間の消極的な状態を繰り返す双極性障害や治療が難航する事例もある統合失調症も疑う必要がある、という。この状態になると、「これは完全な病気であり、親や教師だけで対応できる状態ではない」。しかも、精神疾患の治療の中で、患者の自殺願望を見抜いて防止するのは精神科専門医の重要でかつ、難しい役割だ、と指摘する。

 井上教授は、「『つらい』とか『憂鬱(ゆううつ)だ』などと話したり、言葉にうまく表現できないまま普段と異なる様子を示していたりする場合は、注意すべきだ。抵抗感はあるかもしれないが、高校生以上は精神科の専門医、中学生以下なら児童精神科の専門医に診てもらうのがよいだろう」と勧める。

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