治療・予防

高齢者も移植可能に
白血病治療に一筋の光

 ▽最適タイミングで移植

 高齢者への移植が難しいのは、臓器提供する血縁者が高齢である他、骨髄バンクを利用しても移植の実現まで時間がかかり、必ずしも思うようなタイミングで手術できないという事情もある。

 このため宮腰部長は造血幹細胞を含む臍帯血を利用する。臍帯血は母親と胎児を結ぶへその緒などに含まれる血液で、出産時に提供される。「高齢者に移植する際は、若い人よりも臓器の状態に配慮しなければなりません。冷凍保存した臍帯血ならいつでも使用でき、患者の状態を優先することができます」

 抗がん剤などを減らした分、残ってしまったがん細胞は移植後に患者の体内で増えるリンパ球が根絶やしにしてくれる。しかし、リンパ球が患者自身も攻撃し、発熱や発疹が続くこともある。宮腰部長は「移植にはつらい局面もありますが、高齢社会に貢献する方法であると実感しています」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

  • 1
  • 2

新着トピックス