治療・予防

高齢者も移植可能に
白血病治療に一筋の光

 白血病の治療では、白血球や赤血球、血小板のもとになる造血幹細胞の移植が大きな成果を上げてきた。従来、移植を受けられるのは55~60歳までとされてきたが、「臍帯(さいたい)血ミニ移植」という新しい方法が高齢者にも移植の道を開きつつある。東京都健康長寿医療センター(東京都板橋区)血液内科の宮腰重三郎部長に話を聞いた。

 ▽高齢者に多い白血病

高齢者にも移植の道
 白血病は、造血幹細胞から白血球や赤血球、血小板となる途中の細胞ががん化する病気だ。10万人当たりの発症率は40歳以下は年1~2人だが、65歳以上になると同18~20人と急増する。

 白血病は抗がん剤や放射線療法で治療を始めるが、これらで造血幹細胞の造血機能も抑制されてしまうため、抗がん剤などの投与量には限界があり、その分効果も限定的となりやすい。抗がん剤などの投与量をがんを壊滅できるまで増やし造血幹細胞にダメージを与えても、代わりの健康な造血幹細胞を移植すれば造血機能を復活させられるというのが造血幹細胞移植の考え方だ。

 しかし、大量の抗がん剤や放射線を使う分、やはり患者の健康な肝臓や心臓、腎臓などに悪影響を与えかねず、高齢者の移植は避ける傾向にあった。

 この抗がん剤や放射線の量をできるだけ減らした上で、造血幹細胞移植をするのが「ミニ移植」だ。高齢者の移植に長く取り組んできた宮腰部長は「(移植後に造血幹細胞が機能している割合を示す)生着率を維持しつつ可能な限り患者の負担を減らすミニ移植で延命できた例が増えてきました」と話す。

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