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すぐそばにある危険
ギャンブル、ネットゲーム依存症

 ◇引きこもり14時間ゲーム

 フォーラムで過去のインターネットゲームへの依存体験を語ったのが大学院生の泉雄太さんだ。大学時代にアパートの6畳の部屋に引きこもりになった。インターネットのゲームをしているか、寝ているかどちらかという生活を送っていたという。ゲームをしている時間は1日、12時間から14時間にもなり、昼夜逆転していた。食事は1回、コンビニから買ってきた食べ物を食べるだけだ。

 泉さんがゲーム依存症になったのは「大学がつまらなく、生きる目標を見つけることができなかったから」と言う。1、2時間は寝つけないという事情もあった。「眠ることができないなら、ゲームをやった方がよい」という気持ちも働いた。

スマホのネットゲーム

 「唯一、安心できる場所だった」。泉さんにとってネットゲームの世界は居心地が良かった。ネットゲームは集団(チーム)で行うものも人気だ。「チームの仲間たちは優しかった。ネット上のつながりから、リアル(実際の)なつながりができたというケースもある」

 「ゲームがすべてだった」と振り返る泉さんは、ゲームの世界に浸った理由を次のように説明した。ゲーム仲間以外につながりがなく、頼れる人間は母親しかいなかった。長く休んだ後で大学に戻ると、周りから何を言われるかが怖い。ゲームをやめるきっかけがなかった―。「ゲームをしていない時間はすごく不安だった」と言う。

 ◇大きかった母の支え

 「ここでやめないと人生は終わる。覚悟を決めて久里浜医療センターを訪ねた。他の人に聞いても、病院に行く時は『覚悟がいった』と話している」

 大きかったのは、母親の存在だ。3日1度は泉さんにメールし、会いにも来たが、決して泉さんを責めることはなかった。「10時間ゲームをしてもよいから、1時間一緒に外出しよう」「昼夜逆転を直そうね」。泉さんに寄り添い、優しく背中を押してくれたという。2018年の泉さんは海外でのボランティア活動や大学院の勉強などで忙しかった。「依存症から回復しても、ゲームが嫌いなわけではない。他にやる事を見つけたりするなど、ゲームをしない環境づくりが大切だ」と語った。

 ◇パチンコ・パチスロはギャンブル

 アルコール依存症と認知症治療の専門家である久里浜医療センター副院長の松下幸生氏は「日本がユニークな点は、パチンコ・パチスロの存在だ。法律的には『遊戯』だが、景品交換所でお金に交換するから実質的にはギャンブルだ」と指摘した。全国各地どこでもできるので、パチンコ・パチスロへのアクセスは容易。店は午前中から夜まで営業している。「依存性が高いとされる電子ゲーム機(EGM)の台数は諸外国に比べ日本が突出して高い」と警鐘を鳴らす。

 17年度に行われた1万人を対象としたギャンブル依存症の全国調査によると、過去1年間に最も金を使ったのはパチンコ・パチスロ。また、依存症が疑われる人の1年以内のギャンブル賭け金は平均5万8000円だった。カジノを中核とする統合型リゾート(IR)実施法が成立し、日本にもカジノが上陸する。何かと話題になり、カジノ依存症に関する対策の議論も始まる。ただ、松下氏は「今の日本のギャンブルの状況を見ると、カジノ対策の前にやるべきことがあるのではないか」と、問題提起した。(鈴木豊)

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