ヘルスコミュニケーションDr.純子のメディカルサロン

スギ花粉症、8割の人に効く舌下免疫療法
常温保存できる錠剤で治療も楽に 大久保公裕・日本医科大学耳鼻咽喉科教授

 大久保 まず、これはスギの花粉症が対象です。ヒノキやブタクサの花粉症には適応ではありません。ですから、花粉症の原因がスギかどうかの血液検査をまず受けてください。

花粉症の原因になるスギ花粉の顕微鏡写真。角のような突起があるのが特徴。直径は約30ミクロン

 膠原病やがん、妊娠中の方は受けられません。年齢的には5歳くらいから受けられます。

 あと、新しい錠剤タイプの薬剤はまだ発売から1年未満ですので、1回の受診で2週間分の処方ですから、月2回は受診しなければなりません。19年5月以降は1カ月に1回になります。

 また、花粉症の時期でなくても、毎日治療をしなければなりませんから、それが面倒だという方には向きませんね。


 ◇まずは問い合わせて受診を

 海原 治療には根気が必要ですが、花粉症は一生続くことを思えば、選択肢として考えてみたい療法と言えますね。この治療法は、どこで受けられるのでしょうか。まだ、この療法について、ご存知の方もそれほど多くないですね。

 大久保 今は免疫療法の認知度が60%くらいですが、まだ一般的ではないですね。ですから、「花粉症です」と診断して、「では免疫療法をしましょうか」と言う、開業の耳鼻科の医師はまだ少ないですね。

 この療法をどこで受けられるかということですが、最初は日本医科大学がスタートでしたが、今はこの療法をする耳鼻科も増えています。免疫療法をしているかどうかを問い合わせて受診してはどうでしょう。

2018年5月に開かれた第9回シンガポール・アレルギー鼻科学会に出席した大久保教授(中央)


 海原 最後に一つ。最近、花粉症がこのように増えている背景には何があるのでしょうか。

 大久保 免疫状態の基本を形成するには、乳児までの期間が大事とされています。2~3歳の間にいろいろな雑菌と触れ合っていると、アレルギーを発症しにくくなるといわれています。

 アーミッシュという人たちがいます。ドイツから米国に移民として渡った人たちで、今でも自給自足の生活をして、牧畜や農耕でコミュニティーをつくり、生活しています。土と触れ合い、そこで育てられた牛の乳を飲み、育つわけですが、その人たちには花粉症の発症が非常に少ないとされています。

 土と触れあう機会がどのくらいあるか。例えば、土の上を歩いたことがあるか。こういうことがキーポイントではないかといわれています。

 海原 秋から治療を始めて、翌シーズンは8割が症状改善。最低2年間、治療を続けるのは、ちょっと大変かもしれませんが、一生続くスギ花粉症の悩みから解放されることを考えると画期的ですね。

(文 海原純子)

 

 大久保 公裕(おおくぼ・きみひろ

 1984年日本医科大卒業、88年同大大学院耳鼻咽喉科修了。米国立衛生研究所(NIH)留学を経て、2000年日本医科大耳鼻咽喉科准教授。10年から現職。

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