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妊娠・出産しづらい環境、医師の過重労働の解消を
医学部入試不正で女性医療者連合が6項目提言

 ◇妊娠したら「すみません」

 会見には子育て中の女性医師2人も参加。「月10回当直し、60時間ベッドに寝られずに病院に住み込みのような形で働いていて、妊娠した時は、(同僚に)すみませんという気持ちにならざるを得なかった」「生後6カ月で復帰した後も月に5~6回は当直し、残業が月300時間を超える日が多かった。6歳になる長男が3歳までの記憶がない」など、医療現場の過酷な状況を訴えた。

 「年間残業時間は早急に1000時間以内に」と訴える日本女性医療者連合理事の対馬ルリ子氏
 厚生労働省の医師の働き方改革に関する有識者検討会が今年1月に示した年間残業時間の上限は、地域医療確保のために必要な医師の場合、2035年度末まで特例措置として1900~2000時間という案が示されている。

 理事の対馬ルリ子氏(医療法人社団ウィミンズ・ウェルネス理事長・産婦人科医)は「机の上で考えた数字。すでに現場で疲弊している男性医師や女性医師が、あと15年もこの状況を続けたらどうなるか考えてほしい。早急に1000時間以内に制限すべきだ」と述べた。

 この日の会見には、医学部入試における女性差別対策弁護団の打越さく良弁護士も同席。「東京医科大学の元受験生40人が今春にも大学を提訴すべく準備中だが、今後のことを考えて声を出せない女子学生も多い」と報告、JAMPの取り組みに期待を表明した。(ジャーナリスト・中山あゆみ)


 ◇医師の働き方への提言6項目―日本女性医療者連合

 医学部入試女子差別問題から考える医師の働き方への提言6項目は次の通り。
 一、今春の医学部入試において、全ての大学に公正で透明性のある入学審査を求める。
 二、男女の勤務時間が過労死レベルである残業1000時間を超えないよう、医療環境の早急な整備を求める。
 三、医師の育成には約10年を要する。男女とも健康を守り、妊娠・出産、子育て・介護等と両立できる医師の育成プログラムの整備を求める。
 四、現在、医師が行っている業務のうち、診療科や医師個人に偏っている業務や責任を、複数医師、非常勤医師やコメディカルとの共働によって軽減する措置体制を取ること。
 五、大学教授や病院管理職、医師会・学会理事の女性割合をすぐに30%以上に増やすこと。
 六、各大学に女性の包括的な健康の調査研究および支援に関する講座を設けること。(了)

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