過労死〔かろうし〕

 今日就業者の構成は、業種別では製造業が減少してサービス業が増加し、性別では女子が増加した半面、定年までの終身雇用が減って、パートや嘱託などの非常勤、派遣などさまざまな雇用形態の人が増加し、同じ職場内に混在する状態が生じています。これに伴い、日本の平均年間労働時間は減少して、いまやアメリカよりも短い1800時間未満となりました。
 しかし、実はパートなどの短時間労働者の増加が平均をひき下げており、長時間労働者の実労働時間は必ずしも減少していません。長時間労働は睡眠時間を減少させるとともに、食事が不規則になるなど、健康への悪影響が大きく、いわゆる過労死につながる可能性があります。
 そこで厚生労働省は労働時間の短縮、年次有給休暇の取得促進、所定外労働の削減などの対策を推進するとともに、ひと月に100時間、あるいは半年までの平均が月80時間を超える残業をしている労働者の脳卒中や心筋梗塞による突然死は、業務上災害と認定することとしました。
 いっぽう、そういう作業をしている人には産業医と面接する、などの特別の健康管理をおこなうよう通達をおこなっています。しかし現実には、なかなか長時間労働はなくなりません。本来、労働基準法では、事業主は労働者を1日8時間を超えて働かせてはいけないのですが、同法36条の規定で事業主は労働者の代表と合意すれば、無制限の残業をさせることができます(36=サブロク協定)。こうしたなか、2016年、電通の若い女性社員の長時間残業の結果としてのうつ病から自殺に至ったケースをきっかけに、残業時間の絶対的な制限、前日の終業から翌日の始業の間の十分な休憩時間の確保などの本格的な検討が始まりました。さしあたり働きすぎてからだをこわさないよう説得する家族からのはたらきかけも必要ですし、帰宅時間など生活状況を詳細に記録しておくことなどが、万が一の場合の仕事との関連性を示すための重要な証拠となります。
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