足の悩み、一挙解決

第11回 「O脚だから」と諦めないで!
~治療・改善法はあります~ 足のクリニック表参道院長 桑原靖

 「私はO脚だから」と悩んでいる人が意外に多いようです。一口にO脚と言っても、原因によって主に四つのタイプがあります。タイプによってはO脚だけの問題ではなく、他の足のトラブルを起こす可能性が潜んでいるものもあります。治るもの、治らないものがあり、対処法も違います。まずは、表にある四つのうち、どのタイプかをチェックしてみましょう。

 ◇かかとが内側に倒れた状態

 日本人の約7割が、かかとが内側に倒れた回内(かいない)といわれ、回内はさまざまな足のトラブルの原因になります。素足で立った状態の足を後ろから観察してみましょう。自分で振り返ってみるのは難しいので、鏡に映してみるか、スマホなどで写真を撮ってもらうといいでしょう。

 回内が強い過回内になると、後ろから見たときに、土踏まずがつぶれて、外側から足の小指や薬指が見えてきます(写真参照)。これだと、建物の基礎が傾いているのと同じなので、その上のひざ関節や股関節にまで歪みの影響が伝わってしまいます。

後ろから見た過回内の足

後ろから見た過回内の足

 回内の状態になると、膝関節が内側に回旋するため、膝同士が内側を向いてきます。すると、太ももから膝までは隙間がないのに、膝から下が湾曲したように見えるXO脚の状態になります。

 実際は骨が曲がっているわけではなく、原因は足の構造の崩れなので、アーチを支えるインソールによって、崩れた構造を立て直せば、内側を向いた膝が正面を向くようになり、O脚が改善されます。

 1のタイプなら、インソールが有効ですが、一般的なかかとの外側を高く持ち上げるものよりも、土踏まずのアーチを支えるものの方が理にかなっています。

 ◇骨自体が湾曲している場合

 2の骨自体が湾曲している場合、曲がった骨を治すことはできないので、対処法がありません。ただし、骨の曲がり具合も人によって違いますし、それだけが原因でO脚になっているとは限りません。1や3の要素が混ざっている場合は、それらを改善して目立たないようにすることは可能です。

 また、脛骨が内側へ曲がっていると、足への力が垂直方向ではなく、内側に向いてしまうため、外くるぶしの部分を痛めたり、捻挫をしやすかったりしますので注意が必要です。

 ふくらはぎの骨が曲がっているかどうかをチェックするには、床や椅子の上に体育座りの状態で、ひざの高さをそろえて座り、ふくらはぎの骨のラインを観察します。立った状態だと、膝関節や足首のゆがみが影響して曲がったように見えてしまうことがあるので、膝を立てて座るのがポイントです。

 電車などで腰かけたとき、膝を閉じておくことが難しい人は3のケース。つまり、太ももとお尻の筋肉が弱くなっている可能性が高いです。内ももの筋肉が使えないため、外側ばかりが発達して、外に膨らんだ形の悪い脚になってしまいます。

 1〜3も歩行への支障は少ないのですが、対策をしておかないと、4のような不可逆的なものとなってしまい、将来的に人工関節が必要になってしまうことがあり、注意が必要です。


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