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これまで極めてまれな病気とされてきた原発性アルドステロン症が、高血圧症患者の約10%に潜んでいるのではないかと考えられるようになってきた。原発性アルドステロン症が原因の高血圧は、生活習慣病である通常の高血圧よりも脳卒中や心疾患、腎疾患などを引き起こす可能性が高いため、早期発見が求められる。
薬の効果が出にくい人は、原発性アルドステロン症の可能性も
▽脱力やしびれ、多飲も
左右の腎臓の上に一つずつある副腎は、体内環境を一定に保つさまざまなホルモンを分泌している。中でも、アルドステロンというホルモンは、食事により摂取した塩分(ナトリウム)の吸収と、カリウムの尿への排出を促し、体内の水分量、血液量、血圧などのバランスを保つという重要な役割を果たしている。生物が海から出て陸上で暮らすようになる進化の過程で獲得した重要なホルモンだ。
原発性アルドステロン症は、このアルドステロンが過剰に分泌されることにより、高血圧や低カリウム血症を引き起こす。多くは左右どちらかの副腎にできた良性の腫瘍が原因となるが、腫瘍がなく、両側の副腎でのアルドステロンを分泌する細胞の過剰形成が原因となる場合もある。
「症状は、高血圧(最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mmHg以上)が特徴で、重症例ではカリウム不足による脱力感や手のしびれ、多飲、多尿、不整脈などが表れます。年齢や性別による大きな差はないので、すべての高血圧患者で注意が必要です」と八幡中央病院(京都府八幡市)の成瀬光栄院長は説明する。高血圧は心疾患や脳卒中を起こす可能性が高いが、原発性アルドステロン症では、脳梗塞、心肥大、心不全、心房細動などがより高い確率で起こるので注意が必要だ。
▽手術か薬で治療
特に原発性アルドステロン症が疑われるのは、重度の高血圧、降圧薬の効果が不十分、血液中のカリウム値が低いなどの場合だ。「高血圧の治療薬をきちんと服用していても血圧が下がらないときは、血液検査で血中のアルドステロンとカリウムの濃度などを調べ、異常があればホルモンの精密検査やコンピューター断層撮影(CT)による副腎の腫瘍の有無を確認します」と成瀬院長。
腫瘍が見つかれば、手術により副腎ごと摘出する。腫瘍がない、あるいは合併症があり手術に適さない場合などは、アルドステロンの作用を阻害する降圧薬を服用する。
成瀬院長は「近年、原発性アルドステロン症が簡単な血液検査で見つかるようになりました。高血圧と診断され、血圧を下げる薬を飲んでいても効きが悪い場合は、主治医に相談してみてください」と詳しい検査を勧めている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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