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膵臓(すいぞう)は胃の後ろに位置するオタマジャクシのような形をした臓器で、インスリンや消化を助ける膵液を分泌している。慢性膵炎(すいえん)は、長期間にわたって膵臓に炎症が持続する病気で、症状から胃の病気と間違われやすく、どうしても発見が遅れがちだ。日本医科大学武蔵小杉病院(川崎市)消化器内科の二神生爾部長は「慢性膵炎では、いかに早期に発見して膵臓の機能を保つかがポイントです」と話す。
▽腹痛と背部痛が反復
膵臓には二つの機能があり、血糖値を調節するインスリンというホルモンを分泌するほか、アミラーゼやリパーゼといった消化酵素を含む膵液を作り、食べ物の消化を促している。
繰り返すみぞおちや背中の痛みのほか、胃もたれを訴える人も
慢性膵炎は、何らかの原因で膵臓に長期にわたる炎症が起こり、この二つの機能が低下していく病気だ。診断される年齢は60代から増加するが、発症はそれよりずっと以前と考えられている。二神部長は「繰り返すみぞおちの痛みや背中の痛みが特徴で、脂肪分の多い食事を取った時、胃がもたれると訴えて受診するケースが多い」と話す。進行すると、インスリンや消化酵素を作る細胞が壊され、糖尿病を発症したり、下痢便や脂肪便と呼ばれる白っぽい軟便が出たりする。膵臓は次第に線維化して硬くなり、膵臓がんに移行するケースもある。
▽薬と食事で早期に治療
二神部長によると、慢性膵炎の原因は男女でやや違うという。「男性は飲酒と喫煙が圧倒的に多く、女性は原因が分からない特発性、次いで飲酒となり、膠原(こうげん)病による膵炎もあります」。また、膵臓から十二指腸に膵液を運ぶ膵管は、胆汁を輸送する胆管と合流するため、胆石が膵管をふさぐと急性膵炎が起こり、繰り返すうちに慢性化することがある。他にも特殊なウイルスや遺伝的な要因が膵臓の炎症を招くこともあるという。
検査では、超音波内視鏡で胃壁を通して膵臓を調べ、血液検査で酵素の値も調べる。治療は薬物療法が中心で、膵臓の炎症を抑えるタンパク分解酵素阻害薬を中心に、消化酵素薬や胃酸をブロックする薬を組み合わせる。同時に、1日の脂質摂取を30グラム以下に抑える食事療法を行う。中には食事療法だけで膵臓の機能が回復したケースもあるという。
近年では、早期慢性膵炎の患者を拾い上げ、正常な膵臓の機能を長く保つために、早い段階から治療を開始することが推奨されている。ところが膵臓は、狙って検査をしないと病気を見つけにくい臓器である。二神部長は「胃の症状は膵臓の症状だと思って、飲酒や喫煙はほどほどにしてください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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