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めまいは誰にも起こり得るありふれた症状だ。治療は主に薬を使って行われるが、薬だけでは改善しないケースも多い。横浜市立みなと赤十字病院(横浜市中区)では、めまい改善体操と称して、薬物治療で改善しないめまいの平衡訓練を行っている。めまい・平衡神経科の新井基洋部長は「めまいは寝ていては治りません。訓練を通して平衡機能の底上げを図ることが必要です」と語る。
1日2回、継続することが大事
▽平衡機能の衰えが原因
めまいは大きく分けて、〔1〕グルグルと回る(回転性)〔2〕体がフワフワとする(浮動性)〔3〕立ちくらみのような体の不安定さを感じる(失神性)―の3種類ある。大半が、耳の三半規管が担う平衡感覚を保つ機能の衰えが原因とされ、加齢による筋力の低下や身体機能の衰えが加わると、症状が助長されやすいという。
「めまいは例えるなら、飛行機の片方のエンジン(三半規管)が故障して、機体が傾いた状態です。薬物治療で治らないめまいを、元に戻す手助けをするのがめまい改善体操です」と新井部長。自身もひどいめまいに襲われた経験があり、自信を持って訓練の重要性を説く。
傾いた機体を水平に立て直すパイロットの役目をするのが小脳だ。目(視覚)や耳(三半規管)、足の裏から感じ取る深部感覚を束ね、体のバランスを保つ役割を担っている。訓練でこれらを強化し、平衡機能を改善する力を高めていく。
▽1日2回で機能強化
めまい改善体操は全部で24種あり、同院では患者の症状に合わせて3、4種ずつ、マンツーマンで指導している。1カ月継続し、症状を見て2、3種追加するなど、個別にメニューを変えていく。
新井部長は最初の訓練として〔1〕目を動かす「ゆっくり横」〔2〕内耳を刺激する「振り返る」〔3〕深部感覚を鍛える「50歩足踏み」―の三つを勧めている。1日2回、食前か食事の2時間後に行い、訓練中にめまいがしても、継続することが機能強化につながるという。「特に〔2〕は検査とトレーニングを兼ねているので、普段から行うとめまいの予防にもなります」
精神的な不安が強い患者には集団での指導も行っている。患者同士が自分のめまいの状態を3分間スピーチし、お互い共感しあうことで不安の解消につなげているという。
新井部長は「めまいの薬物治療には限界があります。めまい改善体操を理解して正しい方法を覚え、治療に取り入れてみてください」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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