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わずか1滴の血液でがんを早期に診断できる検査が、2020年にも実用化されそうだ。がん細胞から血液中に分泌される「マイクロRNA(リボ核酸)」という物質の有無や、その種類を調べて判定する。まず、早期発見が困難な膵臓(すいぞう)がんなど2種類が対象となる見込みだ。
▽がんから分泌される物質を検出
この検査は、東京医科大学医学総合研究所(東京都新宿区)分子細胞治療研究部門の落谷孝広教授らのグループが開発した。がん細胞が作るタンパクなど(腫瘍マーカー)を検出する従来の血液検査は、がんの早期の段階では検出が困難だった。これに対し、「マイクロRNAはがん細胞の発生初期から分泌されるため、早期の段階で検出できます」(落谷教授)。
がん細胞から分泌されるマイクロRNAは、300種類に上るという。胃がんや肺がんなどのがんの種類によって、分泌されるマイクロRNAが異なることも分かっている。そこで、血液中にどんなマイクロRNAがあるかを調べれば、がんの有無や種類が特定できるわけだ。
落谷教授らのグループは、国立がん研究センターのバイオバンクに保存されたがん患者と健常者計約6万人の血液を調べ、13種類のがんとマイクロRNAとの関連を突き止めた。また、この関連性に着目すると、多くのがんについて95%以上の精度でその有無を見分けられた。さらに、3~10個のマイクロRNAの組み合わせで、がんの存在と種類を検出するシステムを開発した。この検査はわずか1滴の血液で済むという。
▽13種類のがんで診断目指す
膵臓がん、胆管がんの診断方法として、早ければ20年にも実用化され、自費の人間ドックなどで検査を受けられる見込みだ。胃がん、乳がん、大腸がんなど他の11種類のがんでも順次、検査が可能となる予定だという。
マイクロRNA検査の導入で、膵臓がんをはじめ見つけにくかったがんを早期発見できると期待される。大腸がんでは、大便に血が混じっているかを調べる便潜血検査の結果と合わせれば、早期発見の精度がより向上すると考えられる。
一般的に、がんは早期に発見すれば、体への負担が小さい治療で済み、その後の経過も良い。ただし、実際にマイクロRNA検査によるがんの早期発見が、死亡率の低下につながるかはまだ明らかではない。落谷教授は「幾つかの自治体などと共同で、5~10年かけてデータを収集する計画です」と話す。死亡率の低下が示されれば、人間ドックのみならず、自治体のがん検診としても普及することが期待される。(メディカルトリビューン=時事)
(2020/01/07 07:00)
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