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妊婦健診を受けないまま出産時に初めて病院へやってくる「飛び込み出産」は、妊娠の状況が分からず、母子の命を守ることが困難な事態を招きやすい。大阪産婦人科医会が大阪府の委託で未受診妊婦の実態を調査したところ、飛び込み出産には年齢分布に二つの山があることが分かった。大阪府立母子保健総合医療センター病院(大阪府和泉市)産科の光田信明診療局長に聞いた。
◇275分の1が未受診
「飛び込み出産という言葉が注目を浴びるようになったのは、この10年ぐらいのことです。文字通り、医療機関にとっては初診であり、それ以前の医療情報も存在しません」と光田診療局長は言う。
2009年に始まり14年で6回目となる未受診妊婦調査は、大阪府内の全産婦人科医療機関約150カ所へのアンケート方式で行われ、このほど調査結果が報告された。妊娠経過を通じて受診回数が3回以下か最後の日から3カ月以上受診がないかのいずれかに該当する場合を未受診妊婦とした。その結果、未受診妊婦の数は09年152人、10年148人、11年254人、12年307人、13年285人、14年262人で計1408人。14年の発生頻度は、およそ275回の出産に1回となる。
◇年齢に二峰性
今回の調査では、未受診妊婦の平均年齢は26.7歳だが、年齢の分布は15歳から47歳までと幅広く、24歳以下と35歳以降に二つのピークが見られるのが特徴だという。
「この二峰性は調査初回から見られます。厚生労働省の『子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について』の報告の中で心中以外の虐待死事例を検証していますが、生後24時間内と、生後1カ月未満に死亡した乳児の実母年齢には、未成年が中心の若年層と30歳代後半の二峰性がうかがえます。このことから、未受診妊婦と児童虐待の背景の類似性が指摘できます」と光田診療局長は説明する。
未受診妊婦の原因となるキーワードには、性暴力による望まない妊娠、経済的問題、虐待歴、若年出産経験、家庭内暴力などがあり、乳児の虐待死で加害者になる母親の社会的背景と重なる部分が大きいと推測できるという。
こうしたことから、光田診療局長は「飛び込み出産は医学的問題であるとともに社会的問題でもあります。妊娠から出産に至るまで、切れ目のない相談、支援が産科医だけでなく行政にも求められます」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2017/02/04 16:46)
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