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ストレスフルな状況や出来事によって、日常生活に支障が出るほど心理面や行動面の不調が表れる適応障害。原因や治療法、うつ病との相違点などについて千葉大学医学部付属病院認知行動療法センター(千葉市)の清水栄司センター長に話を聞いた。
▽うつ病との違いは?
適応障害は、強いストレスを受けて3カ月以内に抑うつや不安などの精神症状が表れる。泣きわめく、物に当たるなどの行動が見られ、仕事を休みがちになる例もある。一方、うつ病はストレスと無関係に発症する場合がある。「遺伝的な素因、ストレスなどの環境因、偏り過ぎた完璧主義的な考え方や行動パターンなどの複数の要因があります」と清水センター長。
職場での適応障害は、ハラスメントや過重労働で心身が緊張した状態が続くなど、過度なストレスを受けている人なら誰でも発症する可能性がある。「症状はうつ病に似ていますが、大きな災害や事故などの後に発症するPTSD(心的外傷後ストレス障害)と同じストレス因関連障害の一つで、ストレスがなくなれば6カ月以内に改善します。一方、うつ病は以前は双極性障害と同じ気分障害に分類されており、ストレスがなくても発症します」と話す。
▽ストレスの軽減が最優先
適応障害の治療は、ストレスの原因を減らす環境調整が大切で、ストレスをためやすい考え方や行動パターンを変える認知行動療法も役立つ。うつや不安への対症療法として薬物療法を行うこともある。
「ストレスを減らすと改善するのが適応障害の特徴です。逆にストレスが除去されて6カ月以上たっても、うつ症状が変わらなければ診断名が適応障害からうつ病に変更されることもあります」と清水センター長。
認知行動療法はストレスに対する自分の考え方や行動パターンに気付き、うまくいっていない場合、それを変えていく精神療法だ。同センターでは、毎週1回50分の個人面談による有料カウンセリングを16回程度実施している。予防にも役立つことから、全国の小中学校の子どもを対象に不安への対処を学ぶ認知行動療法の授業プログラムの普及も進めているという。
「家族が仕事などでストレスを抱えていると感じたら、共感の姿勢でじっくり話を聞いてください。本人がリラックスできる時間と場所を持てることが大切です。症状が強い場合は、精神科、心療内科、メンタルクリニックなどで相談しましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)
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