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コロナ禍でも、こうすればロックライブは可能 藤井聡・京都大学大学院教授に聞く

藤井教授らが監修して8月2日にライブハウス 「町田プレイハウス」で開かれたイベント=東京・町田〔藤井教授提供〕

 この1~2週間、都内をはじめ、全国で急激に新型コロナウイルスの感染者数が増えてきました。企業の中には、会食は禁止、外食も控えるように、と指示を出しているところも、かなり増えているようです。新宿では先日、舞台でクラスターが起こり、感染者が全国に広がりました。

 こうした中で、ミュージシャンやライブハウスは、ライブを開催することに後ろめたさを感じたり、「自分たちの仕事は社会に不要なのか」との思いを抱いたりで、気分が落ち込むことも、しばしばです。

 単にライブハウスやミュージシャンの経済状況ということだけでなく、その精神面、特に自己肯定感の喪失などについて、危機感を感じます。

 そこで、新型コロナウイルスに対しての「半自粛」を提唱している京都大学大学院の藤井聡教授にお会いしてきました。

 藤井教授は言います。「人と人との接触の8割削減」や「ソーシャルディスタンスの確保」は、新型コロナウイルスの感染拡大抑止に効果があるのは明らかで、ウイルスをなめていることにはならないが、「人間としての生き方」をなめている、と。

 ただ座って見るだけの映画や芝居まで封印してしまうことのリスクについて、過剰な自粛が文化やアートにもたらす影響について、藤井教授は懸念しています。お話を伺いました。

ライブ入場者の体温を測定=2020年8月2日、東京・町田〔藤井教授提供〕


 ◆「リスクゼロ」は不可能

 海原 先日、藤井先生が「安全にライブを再開する方法」というテーマで対談をしているのを拝見し、現在のこうした状況でも、リスクを減らしてライブを行うことが可能なのだと感銘を受けました。具体的に、どのようにすれば可能なのか、詳しくお聞かせください。

 藤井 「リスク」というと、自分のこれまでの生活や他人との接触の全てをやめなければ抑えられない、という声が聞こえてきます。しかし、われわれの人生は、進学、就職、起業、結婚、子育てなど、リスクとともにあるのです。

 リスクをゼロにすることは不可能。しかし、ゼロを目指すことはできます。ウイルスがどのように感染し、どのような人のリスクが高いのか。どうすれば、リスクを軽減できるのか。そうしたことをしっかり理解して、感染リスクをほぼゼロに抑制できれば、ライブは可能です。

 国民活動のさまざまなことを禁止すれば、感染拡大による直接被害は食い止められますが、社会活動の低迷による間接被害は増加します。

 ◆「半自粛」とは

 海原 リスクゼロを目指すのでなく、限りなくゼロに近いレベルを目指すために、先生が提唱している「半自粛」について、教えてください。

開演前、座席に準備されたフェイスシールド=2020年8月2日、東京・町田〔藤井教授提供〕


 藤井 まずは、リスクコミュニケーションの徹底です。感染の経路を知り、それを遮断すること。感染は、感染者から出た飛沫(ひまつ)がドアノブ、テーブルなどに付着し、別の人がそれを触った手で自分の口や鼻、目などに触れて起こります。

 次に、会話やせきなどで飛沫を直接浴びて感染する飛沫感染、またウイルスを含むエアロゾル(霧状の微粒子)を吸引することによる感染です。

 エアロゾル感染は、あくまでも可能性の議論の段階ですが、換気のない密閉した空間に長期滞在することで、リスクが高くなるとも言われています。

 これらを踏まえて、次の3点をきちんと守ってください。

 ・外出時は目・鼻・口を手で触らない
 ・可能な限りの換気
 ・食事中は距離をとるか、会話時にハンカチなどで口を覆う

 そして手洗い、マスク。これを守ってさえいれば、外出、会食、さらにイベントも可能で、このような自粛を「半自粛」と名付けています。



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