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腰痛で悩んでいる人は多く、痛みで動けなくなると仕事や生活に大きな支障が出てしまう。中でも、ちょっとした動きで腰に衝撃が走り動けなくなる急性腰痛症(ぎっくり腰)は、その痛みの強さから、海外では「魔女の一撃」と呼ばれるほどだ。国立国際医療研究センター国府台病院(千葉県市川市)整形外科の藤本和輝診療科長は「ぎっくり腰を繰り返す人は、普段から姿勢や動作に気を付ける必要があります」と話す。
普段から姿勢や動作に気を付けて
▽デスクワークの人でも
ぎっくり腰は、重い荷物を持ち上げる、椅子から立ち上がるなど、何気ない動作をした時に発症する。藤本診療科長は「椎間板やその周囲の筋肉、筋肉を包んでいる筋膜などが損傷するためと考えられていますが、なぜ起こるのか、どの部分が損傷しているのかなどは、十分に分かっていません」と話す。ぎっくり腰は繰り返すと言われるが、こうした傷の積み重なりが再発を招くと考えられている。
発症しやすいのは、運送業や介護職、幼稚園の先生など、腰に負担の掛かる職業の人だ。しかし、デスクワーク従事者やタクシーの運転手ら、一日中座りっ放しの人にも目立つという。「同じ姿勢を続けていると筋肉が硬くなり、柔軟性が失われます。座る動作は立っている動作の1.4倍、腰に負荷をかけると言われています」
▽温め、適度に動かして
ぎっくり腰の治療は整形外科への受診が基本となる。高齢者の場合は腰椎の圧迫骨折を起こしていることが多いので、レントゲンで骨に異常がないかを確認し、痛み止めの薬や湿布、コルセットの装着により、1週間ほどで回復する。「症状が長引いたり、脚の痛みやしびれなどがあったりする場合は、別の病気が考えられるので、磁気共鳴画像装置(MRI)などでの詳しい検査を行います」。がんの転移や椎間板の細菌感染が原因であるケースも少なくない。
発症直後は横になり、一番楽な姿勢を探して腰への負担を軽減する。冷やすのか温めるのかは議論が分かれるところだが、藤本診療科長は「感染症とは違うので入浴しても構いません。温めることで血行が良くなり、回復が早まります」と話す。運動制限もないので、動かせる範囲で普段通りの生活をして問題ないという。
ぎっくり腰の予防について、藤本診療科長は「猫背になったり、あぐらをかいたりするのは、腰に負担をかけます。正しい姿勢や動作を覚えて、普段から腰を守るようにしてください」とアドバイスしている。 (メディカルトリビューン=時事)
(2020/06/11 08:00)
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