腰痛症〔ようつうしょう〕 家庭の医学

 腰痛をきたす病気のうち、腰椎(ようつい)すべり症、椎間板(ついかんばん)ヘルニア、脊柱(せきちゅう)管狭窄(きょうさく)症、脊髄腫瘍、脊椎炎など、X線検査やMRI(磁気共鳴画像法)検査で診断できるあきらかな病気によらないものは腰痛症と総称されます。わるい姿勢、過労、中腰での作業、不用意な動作などがしばしば誘因となります。
 急に発症したものでは、数週間のうちに治ることが多く、急性腰痛症と呼ばれます。正しい姿勢や動作の指導、腰に負担をかけない作業や仕事の注意、適度な運動などが重要です。急性期の疼痛(とうつう)の強い時期を除き、あまり長期にわたり安静臥床(がしょう)を続けるのはよくないとされています。できるだけ早期から活動性を維持することがかえって回復を早めるという報告もあります。
 仕事や家庭の悩みや不満、うつ状態などは、腰痛症が長びく原因となります。

[治療]
 消炎鎮痛薬の内服、コルセットの装着、各種の牽引(けんいん)法、正しい姿勢や動作の指導、腰痛体操などの運動療法、麻酔薬注射によるブロック療法などがおこなわれます。

■急性腰痛症
 腰痛症のうち急性発症するものは短期間のうちに軽快することが多く、急性腰痛症と呼ばれます。ぎっくり腰も急性腰痛症の一つです。椎間板ヘルニア、脊椎(せきつい)炎など、X線検査やMRI検査で診断できるあきらかな病気は急性腰痛症からは除外されますが、発症の初期には急性腰痛症と区別がつきにくいこともあります。
 診断、治療については腰痛症を参考にしてください。

■坐骨神経痛
 腰の病気の多くは、骨の中にある神経根が椎間板や骨に圧迫されたり、変性に伴って化学的刺激を受けたりして腰や足の痛みを生じます。特に足の痛みでは、大腿(だいたい)のうしろから下腿のうしろや外側といった坐骨神経に沿った痛みとなることが多く、坐骨神経痛と呼ばれます。
 腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱(せきちゅう)管狭窄(きょうさく)症などが坐骨神経痛の原因となることが多く、坐骨神経そのものの病気が原因となることはまれです。したがって、治療法も腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症と同様です。

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