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全身のさまざまな臓器に炎症を生じる難病、全身性エリテマトーデス(SLE)。妊娠可能な年齢の女性に多く見られる病気で、発熱、倦怠(けんたい)感に加えて、皮膚の赤い斑点(紅斑)、関節炎、腎炎といった多彩な症状を引き起こす。その特徴や治療法について、順天堂大学医学部付属順天堂医院(東京都文京区)膠原(こうげん)病・リウマチ内科の田村直人教授に聞いた。
▽免疫の異常で発症
SLEは、自分の身体を細菌やウイルスなどから守る免疫システムが異常を来し、誤って正常な組織を攻撃することで発症する。それにより、全身のさまざまな臓器に炎症が生じ、組織が傷つけられる。
田村教授は「SLEの発症原因は十分解明されていないが、遺伝的な素因のある人が、紫外線、ウイルスなどの感染、妊娠・出産、喫煙、ストレスなどの環境的な要因の影響を受けて発症すると考えられています」と説明する。
男女比は約1対9とほとんどが女性で、20~40代での発症が多い。国内推計患者数は約10万人とされる。
典型的には、発症初期に、発熱、体のだるさ、体重減少などの全身症状が表れる。頬に表れる蝶(ちょう)が羽を広げたような形の赤い発疹(蝶形紅斑)、円板状の赤い発疹といった皮膚症状、脱毛、肘、膝、手などの関節炎が特徴的だ。腎炎による手や顔のむくみ、肺や心臓の障害による胸痛や息切れ、けいれん発作などの神経障害なども出現することがある。患者によって表れる症状やその程度は大きく異なるという。
▽治療中は感染症などに注意
「SLEは症状が良くなったり悪くなったりを繰り返し、完治するのが難しい病気です。しかし、適切な治療を受けて、健康な人とほぼ同様の生活を送っている患者さんも多いのです」と田村教授。治療は、ステロイド内服薬、免疫抑制薬などによる薬物療法が中心となる。2015年には海外のSLEの標準治療薬で、皮膚症状や関節症状に有効とされるヒドロキシクロロキン、17年には分子標的薬ベリムマブが国内で承認され、治療選択肢は広がっている。
治療中は感染症などの副作用に注意が必要である。田村教授は「重症になることもあるため、発熱などの症状が続いたら、早めに主治医に相談してほしい」と話す。また、妊娠・出産を希望する女性の場合、胎児に影響のない薬剤を使うことや、病状が安定していることなど、好ましい条件があるため、「主治医と相談しながら計画的に進めましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)
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