治療・予防

脱力や赤褐色の尿―横紋筋融解症 
放置で腎不全の危険も 国立精神・神経医療研究センター病院脳神経内科 大矢寧医長

 横紋筋融解症は、横紋筋という筋肉の細胞が大量に壊死(えし)して起こる全身症状のこと。事故や災害時のクラッシュ症候群がよく知られているが、病気や薬によって生じることもある。国立精神・神経医療研究センター病院(東京都小平市)脳神経内科の大矢寧医長は「脱水状態のままで治療が遅れると、腎不全を起こすことがあります。筋肉痛や脱力、コーラ飲料のような赤褐色の尿などが見られたら、早期に受診してください」と強調する。

原因はさまざま。複数が重複することも

 ▽脱力、痛み、赤褐色尿

 横紋筋には、体を動かす骨格筋と心臓を動かす心筋があり、横紋筋融解症は骨格筋に起こる。大矢医長は「壊れた筋肉の痛みや腫れ、脱力が生じ、筋細胞に含まれるミオグロビンというタンパク質やクレアチンキナーゼという酵素が漏れ出て血液中に入ります。特にミオグロビンが大量に腎臓に届くと、尿細管をふさいで急性腎障害を起こす恐れがあります」と警鐘を鳴らす。

 ミオグロビンが尿中に出ると、尿が赤褐色になる。一見すると血尿と似ているが、筋肉の赤い色素が尿中に出ている状態で、潜血反応は陽性でも赤血球は含まれていない。医療機関を受診しないと判別は難しく、もしミオグロビン尿の場合は、腎不全を起こさないよう一刻も早く点滴をして尿量を増やす必要がある。早期発見と脱水症状をなくすことが腎障害の経過を大きく左右するという。

 運動や病気、服薬でも

 横紋筋融解症の原因は数多く、複数が重なって発症に至るケースもある。外傷によるものでは、災害などで筋肉への強い圧迫が長時間続いて発症するクラッシュ症候群が有名だ。1995年の阪神・淡路大震災では、がれきの下から救助された人の多くが腎不全により亡くなったという。過激な運動や過度の飲酒、重度の熱中症敗血症やレジオネラ肺炎などの感染症でも発症する。

 また、糖原病V型などの特定の酵素がない先天代謝異常症では、横紋筋融解症を繰り返すこともある。薬剤では、脂質異常症の治療薬であるスタチン系の薬剤を服用中に他の薬剤を併用すると、薬の種類によりまれに症状が出ることがある。医師や調剤薬局にお薬手帳を提示し、併用薬を確認してもらうことが必要だ。他にも向精神薬の副作用で生じる例もある。

 大矢医長は「まれに筋肉の病気が隠れていることもあるので、原因不明で横紋筋融解症を繰り返す場合や、血液検査でクレアチンキナーゼが高いままの場合は、神経内科に相談してください」と話している。(メディカルトリビューン=時事)

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