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前立腺は男性にだけある臓器で、精液の一部を作っている。通常はクルミぐらいの大きさだが、加齢に伴い大きくなり、尿道を圧迫する。頻尿や残尿感、尿が出にくいなどの症状が起こると、前立腺肥大症の可能性がある。
高齢男性の排尿トラブルの原因はさまざま。泌尿器科で正しい診断を
▽他の病気との区別を
前立腺肥大症は、男性の排尿障害の主な原因とされる。前立腺の肥大自体は加齢によってほとんどの男性に起こるため、高齢男性の排尿の悩みというと前立腺肥大症によるものと考えられがちだ。
しかし、日本赤十字社医療センター(東京都渋谷区)の本間之夫院長は「前立腺肥大症でなく、前立腺がんやぼうこうがん、尿路感染症など他の病気の可能性もあります。必ず泌尿器科で正しい診断を受けてください」と注意を促す。
診断は問診のほか、必要に応じて、尿量の測定、直腸診(指を肛門から挿入して前立腺を触診)、超音波(エコー)検査などが行われる。
治療は、まず薬物療法が行われる。前立腺の筋肉の緊張を緩めるα遮断薬やPDE5阻害薬、男性ホルモンの働きを抑えて前立腺を小さくする抗アンドロゲン薬、ぼうこうの緊張を和らげ尿をためる働きを高めて頻尿を改善する抗コリン薬やβ刺激薬などが用いられる。薬物療法で十分な効果が得られない場合、手術が検討される。
▽レーザー手術も普及
手術は、尿道から内視鏡を挿入し、電気メスで肥大した前立腺を削る「経尿道的前立腺切除術(TUR―P)」が標準的だが、多量の出血を伴うことがある。そこで最近では、レーザーを用いた新しい内視鏡手術も行われている。レーザーメスで肥大した前立腺をくりぬくように切除するホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)、高出力のレーザーで前立腺の内側の尿道を取り囲む部分を蒸発させる光選択的レーザー前立腺蒸散術(PVP)や接触式レーザー前立腺蒸散術(CVP)がある。
「HoLEPは大きな前立腺でも治療効果が高いことが特長です。ただし高度な技術を要し、実施できる医療機関は限られます。PVPやCVPは比較的容易に行え、入院期間は2~3日で済みます。ただし術後しばらくは尿道内にむくみが残るため、治療効果が出るまで時間がかかることがあります。どの方法でも、レーザー手術は出血量が少なく、抗血栓薬を服用している人でも安全に手術できます」と本間院長。
前立腺肥大症の症状には生活習慣が関わっている。「特に、夜間頻尿がある人は、健康のためにと水分を取り過ぎているケースがあります。食事に含まれる水分量なども考えて、適量の摂取を心掛けてください」と本間院長はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2020/11/03 06:00)
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