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新型コロナウイルス感染症の流行により生活様式の変更を迫られる中、精神面の不調を感じる人は少なくない。コロナ禍における精神的影響や不調を上手に乗り越える方法について、伊藤クリニック(大阪市)の伊藤英樹院長に聞いた。
外出の意欲が低下して、長いこと外に出ていないようなら要注意
▽外出する意欲が低下
震災や豪雨など大きな災害の後には、不安やストレスからうつ病などの精神障害が生じやすくなる。「新型コロナウイルスもまた未曽有の世界的な危機であることから、災害時と同じように不安をかき立てられ、精神的打撃は大きいと考えられます」と伊藤院長は指摘する。
コロナ禍におけるうつ病は、外出の自粛が生活の一部になっていることが一因であるという。社会の営みが停止してしまう事態に直面し、以前のように自由に外出できない生活に強いストレスを感じて精神的不調に陥りやすくなる。
うつ病には、抑うつ感、不安感、イライラ感、焦燥感、意欲低下の五つの特徴的な症状があるが、コロナ禍によるうつ症状の特徴は、著しい意欲低下だ。「外に出られない生活が続くとそれに慣れてしまい、自ら外に出ようとする意欲が湧いてこなくなります。マスクを着けると暑いから外出しないなどと言い出したら、うつ病の初期症状かもしれません」と伊藤院長。
▽周囲の気付きも重要
外に出るのがしんどいと感じても、それがうつ病の初期症状であると自覚できる人は少ない。そこで求められるのが周囲の気付きだという。キーワードは「外に出たくない」。家族や友人との会話の中で、外出を嫌がり長期間外に出ていないことが分かれば、気分の落ち込みと捉えて受診を勧めたい。
コロナ禍でのうつ病を未然に食い止める方法としては、以下の点があるという。〔1〕コロナ関連のテレビ番組を見ない〔2〕なるべく普段通りの生活を送る〔3〕3密を避けながら人と会って話す〔4〕物事を前向きに考える〔5〕十分な睡眠と適量の食事、運動を心掛けるなどだ。コロナに触れないラジオ番組や音楽、DVDなどの鑑賞を楽しむほか、近くを散歩すればストレスの発散になる。
「気持ちの落ち込み方が普段と違うと感じたら、ためらわず専門医を受診してください」と伊藤院長は呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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