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過敏性腸症候群(IBS)は、一般に「下痢型」「便秘型」「混合型(下痢と便秘を繰り返す)」に分類されるが、おならに困る「ガス型」もある。主な症状は、ガスがたまっておなかが張る、おならがよく出る、おならが臭くて気になる、などだ。ガス型のIBSに詳しい心と体のクリニック(さいたま市)の大林正博院長に聞いた。
症状を訴える人は若い女性に多い
▽若い女性に多い
大腸がんなど明らかな病変によって腸が狭くなる場合を除き、おならで困ると訴える人は若い女性に多い。IBSと診断された人を対象に行われたインターネット調査では、15~29歳のうち「おなかが張る、ガスがたまる」という症状を訴えたのは、男性の約13%に対し、女性は約23%に上った。
だが、IBSの人の腸内にガスが発生しやすくなる理由は、実はよく分かっていない。大林院長は「食生活や腸内環境によってガスの発生量や臭いが増す可能性はありますが、IBSの人が健康な人と比べて明らかにガスが多いという研究報告はありません。腸管刺激に対する知覚過敏、ガスの排出機能の低下、腸にガスが偏在することなどが症状の原因ではないかとも考えられています」と説明する。
▽診断が難しい
ガス型IBSの人は、現状ではなかなか十分な治療を受けられない。現在、広く用いられている診断基準では、主に便の形状でIBSを分類し、ガスの有無は問わない。そのため、便の形状に異常がないと、そもそもIBSと診断されない。また、呑気(どんき)症や自己臭症との判別も難しい。大林院長によれば、それぞれに特徴はあるが、中には合併している場合もあるという。
ガス型IBSの場合、臭いや音で、おならが出た瞬間を自覚できる。おならを我慢せずに出せたり、排便があったりすると、しばらくは症状が落ち着く。
呑気症は、口から飲み込む空気の量が増え、げっぷやおならが出やすくなる。ベルトがきつくなるなど、おなかの張りが客観的に分かる。おならは臭くない。
自己臭症は必要以上に臭いを気にしてしまう精神疾患で、実際にはおならが出ていないのに、出たと思い込んでいるケースもある。おなかの張りを感じないし、おならが出た瞬間を自覚できない。
治療には、ガスを排出しやすくするジメチコン、腸の動きを改善する漢方薬の大建中湯(だいけんちゅうとう)などが用いられるが、効果が乏しいケースもあるという。「腸内環境を整えることが何より重要です。バナナ状の理想的な便が出るようになれば、ガスの症状も改善することが多いもの。繊維質の多い食事、睡眠を含めた生活リズムの調整、ストレス対策―の三つがポイントです」と大林院長はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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