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思春期は心や体が子どもから大人へと成熟する時期で、男女の特徴が顕著になる第二次性徴をきっかけに起こる。思春期遅発症は、この第二次性徴の出現が遅れる病気だ。昭和大学横浜市北部病院(横浜市)産婦人科の長塚正晃教授は「個人差もありますが、気になるときは一度受診することをお勧めします」と話す。
多くは、親がわが子の低身長を心配して受診させる
▽低身長で受診して判明
第二次性徴は、男児では11歳ごろに精巣が大きくなり生殖器が成熟し、陰毛の発生、声変わりと進む。女児は10歳ごろに乳房が発育し始め、陰毛の発生、初潮と経過するのが一般的だ。
長塚教授は「男児で13~14歳、女児で12~13歳になっても第二次性徴の兆しがない場合、または出現しても、男児は外陰部の完全な成熟、女児は初潮までに4年以上かかる場合も思春期遅発症と呼びます」と説明する。
第二次性徴は、脳の下垂体から分泌されるゴナドトロピンという性腺刺激ホルモンが卵巣や精巣に働き掛け、性ホルモンが作られることで始まる。男女ともこの頃に急激に身長が伸びるため、低身長を気に掛け親が受診させるケースが多いという。
▽成長記録が受診に有用
思春期遅発症の原因は、〔1〕性腺刺激ホルモンの分泌量が少ない〔2〕精巣や卵巣に何らかの異常がある―に大別される。〔1〕で最も多いのが、体質や遺伝によるものだ(体質性思春期遅発症)。「男児に目立ち、男児の63%、女児の30%に見られます。いずれ第二次性徴が表れます」と長塚教授。甲状腺の病気や脳にできた腫瘍なども性腺刺激ホルモンの減少につながる。〔2〕の場合は、染色体異常(ターナー症候群)や、小児がんに対する放射線治療や化学療法の影響、精巣や卵巣の機能不全などがある。
検査では、問診で家族性がないかを、身長と体重から成長の度合いを確認する。また、血液検査で性腺刺激ホルモンや性ホルモンなど各種ホルモン値を、手の骨をX線撮影し、骨年齢に遅れがないかを調べる。頭部MRI(磁気共鳴画像装置)検査で腫瘍の有無も確認する。
長塚教授は「将来子どもを持てるかどうかに関わるので、どこに原因があるのかをしっかりと突き止めることが最も重要になります」と強調する。身体的な異常がない場合は、経過観察になるか、適正量の性ホルモンを定期的に注射して第二次性徴を促す治療を行う。
「子どもたちは、体の変化について自分からはなかなか言いたがりません。第二次性徴が遅れていると感じたら、一度小児科に相談してください。その際は、母子手帳や学校で測定した身長・体重の記録を持参するといいでしょう」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/06/28 05:00)
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