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座骨神経は体の中で最も長い神経で、腰から足先まで通っている。この通り道に生じる痛みやしびれを座骨神経痛と呼ぶ。正式な病名ではなく症状を表す総称で、詳しい検査で原因疾患が見つかると、そちらが診断名になるのが一般的だ。東千葉メディカルセンター(千葉県東金市)整形外科の青木保親部長は「原因はさまざまで、詳しい検査が重要です」と話す。
痛みが出ない程度に、積極的に体を動かして
▽神経圧迫が要因
座骨神経は、腰の骨(腰椎)から出た数本の神経が骨盤内で1本になり、お尻から太ももの後ろを通って、膝の辺りで枝分かれして足先につながっている。青木部長は「痛みはしびれを伴うことが多く、お尻から太もも、ふくらはぎ、かかとなど広範囲に及びます。歩くと座骨神経痛が出る間欠性跛行が起こることもあります」と説明する。
原因で多いのが、腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症だ。腰椎椎間板ヘルニアは、背骨の間でクッションの役目を果たす椎間板を構成する髄核という部分が飛び出す病気で、腰部脊柱管狭窄症は、背骨の神経の通り道(脊柱管)が、骨の変形で狭くなる病気だ。
どちらも座骨神経を圧迫し、痛みやしびれを起こす。他には、動脈硬化による血行障害や、股関節や膝関節の変形でも座骨神経痛のような症状を起こすことがある。
▽薬で痛みを緩和
検査はレントゲンと磁気共鳴画像(MRI)で原因箇所を突き止める。「腰ではなく胸の骨(胸椎)に原因があることもあり、診断のためにMRI検査は重要です」と青木部長。
治療は、多くの場合、鎮痛剤などで痛みを取ることから始める。傷ついた神経を修復するビタミンB12製剤なども処方される。痛みの強さによっては、麻薬性鎮痛薬を使ったり神経周辺に局所麻酔薬を注射する神経ブロック治療を行ったりする。「脚の運動まひや排尿障害がある場合は手術も考慮しますが、体の負担を考えて慎重に検討する必要があります」
予防は原因疾患を防ぐ以外にない。普段から、前かがみで重い物を持ち上げる動作を繰り返す人は、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症を招きやすいので注意が必要だ。柔軟性や筋力の低下は全身に悪影響を及ぼすので、座骨神経痛があっても、痛みが出ない範囲で体を積極的に動かすことを心掛けたい。
青木部長は「病気や治療で不安があると、痛みを増強させてしまいます。不明点は主治医にしっかり質問し、解消するようにしてください」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/07/09 05:00)
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