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緊張や気温と関係なく過剰に汗をかく局所多汗症のうち、脇の下(腋窩=えきか)に生じ、原因の病気がない場合を原発性腋窩多汗症という。日常生活に支障を来し、精神的苦痛も小さくない。そうした中、保険適用となる初の外用薬が昨年11月に発売された。東京医科歯科大学医学部付属病院(東京都文京区)皮膚科の横関博雄主任教授に話を聞いた。
▽対人関係の問題にも
週に1度は左右の腋窩に大量の汗をかく、服の汗染みで1日何回も着替える、汗が気になり仕事や勉強への集中力が低下する―。このような状況になる原発性腋窩多汗症の患者について、横関主任教授は「対人関係の問題なども相まって、うつ状態になることもあります」と説明する。
横関主任教授らの調査では、有病率は5.75%と推定され、発症年齢は平均19.5歳だった。
治療の第一選択は、汗腺に栓をするように働く塩化アルミニウム溶液の外用療法。それで効果が不十分な場合、発汗を誘発する物質アセチルコリンの働きを抑える注射薬「A型ボツリヌス毒素製剤」や飲み薬「抗コリン薬」を使うこともある。
ただし、▽塩化アルミニウム溶液は保険適用がなく、刺激皮膚炎の発生頻度が高い▽注射薬の治療は、実施医療機関が限られる▽飲み薬は、口が渇く、尿が出にくいなどの副作用がある―といった問題がある。
▽発汗を抑える外用薬
そうした中、昨年発売されたソフピロニウムという新薬は、アセチルコリンの働きを抑えるゲル状の外用薬で、医療機関で処方される。
臨床試験では、発汗で日常生活に支障を来す患者141人に、ソフピロニウムを1日1回、6週間使用した。その結果、約半数が気にならないか我慢できる程度まで改善し、発汗量も半分以下に減少した。主な副作用は、薬を塗った箇所の皮膚炎が9人、赤みが8人に表れたが、多くは治療を継続できたという。
横関主任教授は「原発性腋窩多汗症の患者は、医療機関を受診せずに市販の制汗剤などで対処している人がほとんど」と指摘する。保険診療で使用できる外用薬の登場で、治療選択の幅が広がるだけでなく、副作用など患者の負担が軽減して生活の質が向上することに期待を寄せている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/07/28 05:00)
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