治療・予防

スポーツで起きる腰椎分離症
成長期の子どもは要注意(埼玉県済生会川口総合病院整形外科 新井嘉容主任部長)

 スポーツにけがはつきものだが、成長期の子どもが注意したいのは腰椎分離症だ。埼玉県済生会川口総合病院(埼玉県川口市)整形外科の新井嘉容主任部長は「早期であれば治癒が期待できますが、放置すると困難になり、進行すると将来別の病気を誘発する可能性があるので早めに受診してください」と呼び掛ける。

頑張り過ぎは禁物。自分のペースを守って

 ▽背骨の一部が疲労骨折

 背骨は24個の椎骨が連なった構造をしており、上から7個の椎骨を頸椎(けいつい)、12個を胸椎、5個を腰椎と呼ぶ。椎骨は椎体と椎弓から成り、関節突起間部と呼ばれる椎弓の一部は衝撃に弱い。

 背中を反らす運動や体をひねる動作を繰り返すと亀裂が生じ、さらに圧力が加わると、腰椎分離症と呼ばれる疲労骨折を起こすことがある。特に傾斜が大きく、圧力のかかりやすい一番下の腰椎(第5腰椎)に生じやすい。

 腰椎分離症は、骨が成長過程にある子どもが、野球やサッカー、平泳ぎやバタフライといった水泳などのスポーツで発症するケースが多い。腰の痛みやしびれが主な症状で、背中を反らせたときに痛みが増す。だが、椎弓に亀裂や分離が生じても、自覚症状がない場合もあるという。

 「腰椎分離症を治療せずに放置すると、椎体が前後にずれていき、大人になってから腰椎分離すべり症を発症する可能性があるほか、座骨神経痛の原因になることもあります」と注意を促す。

 ▽予防にはストレッチ

 治療は装具療法が一般的だ。コルセットを装着して、最低3カ月間運動を控えれば、分離した部分の復元が期待できる。難治例には、分離部を修復する手術が必要になる場合もある。

 予防策の一つとして、新井主任部長は、腰椎にかかる負担を分散するストレッチ運動を勧める。特に、太ももの裏側のハムストリングスを伸ばすジャックナイフストレッチを入浴後などの筋肉がほぐれている時に行うと効果的だという。

 「ただし、頑張り過ぎないこと。すぐにできなくても構いません。次の受診時にはここまでできるようにするなど、目標を立てることも大切です」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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