治療・予防 2024/11/25 05:00
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肝がんの患者数は1970年代から徐々に増加し、2000年代からはほぼ横ばい。C型肝炎とともに、肝がんの原因の大部分を占めるB型肝炎は、ウイルス感染で発症する。武蔵野赤十字病院の黒崎雅之副院長は「B型肝炎では、『感染させないこと』と『しっかり治療すること』の二つが大事になります」と話す。
知らぬ間に感染している可能性も。一度は検査を
▽体内にとどまるHBV
B型肝炎ウイルス(HBV)に感染する主な経路は、出産時に感染する母子感染と、注射針の使い回しなどによる血液感染。免疫が発達していない乳児期はウイルスの排除機能がうまく働かず、体内にウイルスを抱えるキャリアになる。黒崎医師は「風邪やインフルエンザのように治ったらウイルスがいなくなるわけではないのが、B型肝炎の厄介なところです」と説明する。
キャリアは20歳前後にB型肝炎を発症する。大部分はそのまま落ち着いて治療の必要がなくなるが、10~20%は慢性肝炎になり、将来的に肝硬変、肝がんを発症する人もいる。
▽未診断感染者が問題
国内では16年に全ての0歳児を対象にHBVワクチンの定期接種が始まり、将来的な感染予防ができるようになった。日本に先行して1984年に新生児へのワクチン接種を始めた台湾では、新規感染者が減少し、肝がんの発症者も死亡者も大幅に減った。今後は日本でも感染者の減少が見込まれる。
現在の問題は、既に感染しているのに、診断や治療を受けていない人がいることだという。HBVの有無は1回の血液検査で分かり、自治体の健診などでも調べられる。また、病院で手術や出産をする際にHBV検査を受けるが、まれにその結果が伝わっていないことがある。
多くの人は「自分はHBVに感染していない」と思っているが、知らない間に感染している可能性もある。黒崎医師は「一度でよいので肝炎の検査を受け、必要ならきちんと治療しましょう。また、手術や出産の前に受けた検査の結果は、必ず医師に確認してください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/09/26 05:00)
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