肝がん〔かんがん〕

 肝がんには、いきなり肝臓にがんができてくる原発性のものと、ほかの臓器にできたがん、たとえば、胃がん、直腸がんなどが飛び火してできる転移性のものとがあります。
 原発性肝がんの原因として、ウイルス、特にB型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルス、発がん物質としてカビ毒などが注目されています。わが国の肝がんは、B型やC型肝炎ウイルスが血中にあるキャリア(慢性肝炎)に発症する例が多かったのですが、最近ではアルコール性肝硬変(アルコール性肝障害)や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が増加してきました。がんの半数以上は、肝硬変を伴っています。

[症状]
 気がつかないうちに起こり、かなり大きくなるまで症状のあらわれないのがふつうです。したがって、症状があらわれてからでは手遅れであることのほうが多いのです。しかし、症状が出なくても原発性の肝がんになる人は、ほとんどがB型やC型肝炎のウイルスか、アルコール性肝炎、脂肪性肝炎をもっているので、これを利用して肝障害のある人に対して定期的に超音波(エコー)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像法)検査をおこない、α-フェトプロテインやPIVKA-Ⅱといった腫瘍マーカーの検査も血液でチェックしていくと、ほとんどの例で直径2cmぐらいになる前に肝がんを見つけることができます。
 みずおちや、右上腹部の痛み、上腹部に腫瘤が触れるといった症状はかなり腫瘍が大きくなってからあらわれます。門脈が腫瘍によってつまると、腹がはって、腹水がたまり下痢が起こって急速に体力が落ちます。これらの症状はかなり進行した状態です。末期になると黄疸(おうだん)もあらわれます。

[治療]
 原発性肝がんの治療は第一に手術によって切り取ることです。経皮的にアルコールを注入したり、ラジオ波で焼いたりする治療もおこなわれていますが、直径2cmを超えるとあきらかに手術のほうが治療成績はいいので手術を第一選択とします。
 しかし、肝硬変を伴っている例が多いので、肝機能からみて切除可能な範囲を超えてがんが進展している場合は、肝動脈をつめる肝動脈塞栓術をおこないます。
 がんは小さいけれども肝機能が不良のために手術ができない例は65歳以下では肝移植が、65歳以上ではアルコール注入やラジオ波がもっともよい治療法となります。肝移植は肝細胞がんに対しても保険が適用されます。ただし、腫瘍栓がある場合、肝移植の適応になりません。転移性肝がんでも、第一に選択すべき治療法は切除です。転移性肝がんではほとんど肝硬変の合併をみないので、手術も容易で多数の転移も安全に切除できるようになりました。あまりにも数の多い例には、肝動脈にカテーテルを入れて抗がん薬の注入をおこないます。
 肝外にも転移のみとめられる例では、静脈から全身に抗がん薬を注入します。大腸がんの肝転移は特に切除後の成績がいいので積極的に切除します。大腸がんでは肝転移のみならず、肺転移も切除の対象です。肝を2回、肺を3回切って助かった例や2回の手術で22個の転移をとって助かった例、また6回の肝切除と2回の肺切除で10年以上生存している例もありますので、再発しても再切除をためらってはなりません。
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研究開発法人 日本医療研究開発機構/大阪大学