治療・予防

肝がんに相次ぎ新薬
延命効果に期待

 国内で毎年約3万人が死亡している肝がん。再発率が高く、手ごわいがんの一つだが、近年、手術ができないほど進行した患者に対する薬物療法が急速な進歩を遂げている。国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)肝胆膵(すい)内科の池田公史科長に、肝がんの特徴や最新の薬物療法について聞いた。

肝がんの主な治療法

 ▽注目される分子標的薬

 肝がんは、肝臓の炎症と修復が長期間にわたって繰り返されるうちに、遺伝子の変異が蓄積して発症する。国内では2000年代前半をピークに死亡者数は減少しているが、依然としてがんの中で男性では4番目、女性では6番目に多い。発症原因の8割を占めるウイルス性肝炎の対策や治療が実を結び、肝炎から肝がんへの進行例が減る一方で、脂肪肝から肝がんに進行する人が増えている。

 肝がんの治療は、手術に加えて、熱でがんを破壊するラジオ波焼灼(しょうしゃく)術、血流を遮断してがんを壊死(えし)させる肝動脈塞栓術といった局所療法が3本柱である。これらが行えない場合、薬物療法が選択される。薬物療法をめぐっては、がんの増殖に必要なタンパク質の働きを阻害して効果を発揮する分子標的薬の進歩が目覚ましい。09年に承認されたソラフェニブは、手術や局所療法ができないほど進行した肝がんの標準治療となった。

 17年には、2次治療薬としてレゴラフェニブが登場。「従来、ソラフェニブの使用後にがんが進行した患者では、有効な治療法がありませんでした。そうした患者にレゴラフェニブを投与すると、延命効果を示すことが報告されています」と池田科長。ただし、これら2剤は同系統の薬のため、ソラフェニブを投与して副作用等で治療を中止した患者にはレゴラフェニブの投与は推奨されないという。

 もう一つ注目されるのが、レンバチニブだ。18年3月に承認を取得し、ソラフェニブと同様、手術や局所療法ができない肝がんの1次治療に使用できるようになった。

 ▽手足の皮膚などに副作用

 これらの新薬に共通する厄介な副作用として、手のひらや足の裏が赤く腫れ、痛みを伴う手足症候群などがある。手足症候群は、痛みが強いと歩くのもつらく、重症化を防ぐには、早期に発見し、保湿外用剤を塗布するなどの対策を取る。池田科長は「治療効果を期待するには、副作用への対応の徹底が求められます。副作用の予兆が出たら、すぐに主治医に相談しましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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