治療・予防

進化するC型肝炎の薬物治療
飲み薬で完治可能な時代に

 C型肝炎はひと昔前は治癒が難しかったが、近年、ウイルスを高い確率で排除できる飲み薬が相次いで登場し、ほとんどの患者が治る時代になった。最新治療の現状や期待される効果について、東京医科歯科大学(東京都文京区)消化器内科・肝臓病態制御学講座の朝比奈靖浩教授に聞いた。

 ▽治癒率が大幅に改善

 C型肝炎は、気付かずに放置すると、肝硬変から肝不全に進行したり、肝がんを発症したりする例が少なくない。そのため早期に発見し、治療する必要がある。

C型肝炎の第一選択薬(治療歴のない患者)

 治療法は著しく進歩しており、従来の注射剤による治療から、2014年以降は飲み薬のみで治療が可能になった。ウイルスに直接作用して増殖を抑える「直接作用型抗ウイルス薬(DAA)」という薬でウイルス除去率が100%近くなり、治癒率が飛躍的に向上した。

 朝比奈教授は「注射剤では半年から1年間、場合によっては1年半の治療が必要でしたが、DAAだと2~3カ月で済み、患者の負担は格段に減りました。副作用が少ないのも特徴です」と説明する。

 ▽肝がんの発症抑制が課題

 C型肝炎ウイルスには遺伝子型があり、1型と2型で97%を占めている。日本人の約7割は1型である。このタイプでDAAを用いて初めて治療する患者への標準治療薬は、レジパスビル・ソホスブビルの配合剤(商品名ハーボニー)、エルバスビル(同エレルサ)とグラゾプレビル(同グラジナ)の併用療法、グレカプレビル・ピブレンタスビルの配合剤(同マヴィレット)の3種類に集約されている(2019年1月時点)。

 このうち、17年11月に発売されたグレカプレビル・ピブレンタスビル配合剤は、DAAで初めて治療する1型、2型のC型慢性肝炎に対し、DAAの中で唯一、8週間という短期間で治療でき、1型、2型を問わずあらゆるタイプのウイルスを一つの薬で治療できる。

 DAAの登場後、薬が効かなくなる薬剤耐性ウイルスの出現が問題になっていたが、朝比奈教授は「耐性ウイルスが生じるなどして、従来のDAAが効かなかった人をこの新薬で再治療すると、9割の人が治るようになりました」と強調する。

 治療の最終目標は肝がんの発症抑制だが、朝比奈教授は「DAAによる肝がんの発症抑制効果の検証など課題は多い」と語る。また、若者を中心にピアスの穴開けや入れ墨などによる感染例が増えているとして、「一度は肝炎ウイルス検査を受けましょう」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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