治療・予防 2024/11/22 05:00
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視野に突然、明るいギザギザ模様が表れて拡大したかと思うと、やがて形が崩れて消えた後、頭痛が始まる。「閃輝暗点(せんきあんてん)」という症状で、初めて経験すると失明するのではないかと心配になるが、必ず回復する現象だ。
ギザギザ模様は徐々に大きくなり、やがて消える
▽20分で自然消失
閃輝暗点は片頭痛の典型的な前兆の一つ。片頭痛に悩んでいた芥川龍之介は私小説「歯車」で閃輝暗点について描写している。それによると、視野の中で半透明の歯車が回って視野がふさがれるが、しばらくすると歯車は消え、その後に頭痛を感じるという経験を、何度もしていた。
井上眼科病院(東京都千代田区)の若倉雅登名誉院長は「ギザギザ模様は徐々に大きくなり、視野の半分近くまで広がります。通常は20分前後で自然に消失しますが、その後に脈打つような頭痛が起こります」と説明する。
片頭痛は男性より女性に多い。女性の場合、10~20代で発症し閉経とともに頭痛は改善していくが、閃輝暗点だけ残ることもある。若倉名誉院長によると、日本人の約8%が片頭痛を持っていて、前兆のある片頭痛と前兆のない片頭痛に分けられるが、前兆がある人の多くに閃輝暗点が表れる。片頭痛は、人によっては頭が重いと感じる程度で痛みを自覚しないこともある。
▽誘発因子を避けて
原因は不明だが、脳の後頭葉にある視覚をつかさどる中枢(視覚野)の血管が収縮し、一時的に血流が低下するためだと考えられている。片頭痛の治療法はあるが、閃輝暗点の治療法は今のところない。
若倉名誉院長は「閃輝暗点が表れた場合は、まずは回復するのを静かに待つことです。車の運転中なら、慌てずに車を止めて10~20分休めば回復します」と対処法について説明する。
血縁者に片頭痛がある人は、自分にもリスクがある。また、疲労や寝不足、ストレス、チョコレートの摂取などが閃輝暗点を誘発することがある。「閃輝暗点は繰り返し起きることが多く、きっかけが分かっていればそれを避けるのも予防策の一つです」と若倉名誉院長はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/02/26 05:00)
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