治療・予防

鎮痛薬の飲み過ぎによる頭痛
増加傾向に、専門医の受診を(北里大学北里研究所病院(脳神経内科 飯ケ谷美峰部長)

 繰り返す頭痛に悩んでいる人は、日本で推定約4000万人に上る。このうち、鎮痛薬の使い過ぎによって起こるのが「薬物乱用頭痛(薬物の使用過多による頭痛)」だ。鎮痛薬や頭痛薬の服用回数が増えるなど不適切な治療を繰り返していると、頭痛発作が慢性的に続くようになり、さらに薬の使用頻度が増えるという悪循環に陥る。安易に薬に頼るのではなく、患者自身が陥っている状態を理解した上で、頭痛専門医の治療を受けることが大切だ。

薬物乱用頭痛の可能性のある人.

 ▽処方薬が原因にも

 北里大学北里研究所病院(東京都港区)脳神経内科の飯ケ谷美峰部長は、薬物乱用頭痛についてこう説明する。「原因不明の慢性的な頭痛が続いている患者が、単一成分の鎮痛薬を1カ月に15日以上、複合鎮痛薬(複数の成分を含有)や片頭痛薬を1カ月に10日以上服用している場合、“乱用(使用過多)”と考えます。この状態が3カ月以上続いた結果生じるのが薬物乱用頭痛です」。100人に1~2人ぐらいの割合で認められ、女性に多く見られる。鎮痛薬が簡単に手に入るようになった今、増える傾向にあるという。「鎮痛薬を安易に使用しないことが大事です」

 市販の鎮痛薬の飲み過ぎで起こるケースが多いが、医療機関で処方される薬でも生じるという。「最近は、慢性頭痛の一つである片頭痛の治療で処方されるトリプタン系薬剤の飲み過ぎで発症する人が増えています。薬物乱用頭痛の患者の約8割は片頭痛であると報告されています」

 ▽薬の中止で頭痛が改善

 薬物乱用頭痛の特徴について、飯ケ谷部長は「頭痛がほぼ毎日のように起こり、起床時から就寝まで続きます。痛みの部位や程度、性質は時間とともに変化し、鎮痛薬を常用しているのに効きにくくなる例が多いのです」と話す。

 治療法はまず原因となる鎮痛薬の服用を中止すること。中止すると再び頭痛が起こるが、その場合、別の成分が含有されている頭痛薬で治療することがポイントだ。さらに、予防薬として血管拡張作用のあるカルシウム拮抗薬、うつ病や神経痛に用いられるアミトリプチリンなども使用されるという。飯ケ谷部長は「薬物乱用頭痛を疑ったら、頭痛専門医を受診しましょう」とアドバイスする。頭痛専門医は日本頭痛学会のウェブサイトで調べることができる。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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