治療・予防 2024/11/22 05:00
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東京都内の約4000世帯を対象とした調査から、一般的な水準以上の医療サービスを必要とする子ども(医療的ケア児)を介護する保護者は、そうでない保護者に比べ不安や抑うつが強いことが分かった。調査・分析を行った東京大学医学部付属病院(東京都文京区)精神神経科の笠井清登教授に聞いた。
医療的ケア児と保護者の不安
▽社会の支えが必要
人工呼吸器や胃瘻(ろう)、痰(たん)の吸引など、日常的な医療的ケアを受けつつ在宅で生活する子どもは2万人以上いるとされる。そのほか、ぜんそくなどの何らかの身体疾患、身体障がいがあり、処方薬を定期的に服用したり、発達などの問題でカウンセリングや治療を受けたりしている子どもを含めると、8人に1人(約12.5%)となる。
今回の調査からは医療的ケア児を持つ保護者は不安や抑うつを抱えやすいことが分かった。背景には子どもだけでなく、療養を支える保護者への支援不足が挙げられる。
「医療機器による管理が不要でも、医療サービスが継続的に必要な子どもの場合、保護者は常に子どもの体調に神経を使うなど、強いストレス状態にあります」と笠井教授。対策として、「人的なソーシャルサポート、つまり必要な時に相談する人がいることで、不安や抑うつ症状が軽減することが分かりました」。
▽ケアする人全てに支援を
2021年9月に施行された「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」は、医療的ケア児や家族に対する医療や保健、福祉、教育などの支援を目的にしている。しかし、この制度の対象外だが、継続的な医療サービスを必要とする子どもも多く、成長の過程で必要なサービスが変わることもある。また、子どもが専門職による医療サービスを受けている間に、保護者が休息を取れるような短期入所施設なども少ない。
日本では、家族の世話は家族が無償でするのが当たり前という風潮がある。「近年、若い世代が家族の介護を担うことで教育の機会を失うなどの『ヤングケアラー』が注目されていますが、医療的ケア児がいる家庭では将来、兄弟姉妹がケアを担うことになるケースが多いのです。保護者だけでなく、ケアを担う全ての人への支援の充実が望まれます」と話す。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/03/09 05:00)
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