治療・予防 2024/12/23 05:00
薬物療法が大きく進歩
~ぼうこうなどの尿路上皮がん(虎の門病院 三浦裕司部長)~
治療の進歩でてんかんの患者も健康な人と変わりない生活が送れるようになったが、妊娠・出産には不安を抱く女性が少なくない。てんかんの診療が専門の新宿神経クリニック(東京都新宿区)の渡辺雅子院長は「てんかんがあっても健康なお子さんを産み育てている方はたくさんいます。まずは主治医に相談してください」と呼び掛ける。
心配なことは何でも主治医に相談しよう
▽妊娠は計画的に
てんかんは慢性的な脳の病気で、年齢や性別に関係なく発症する。症状は突然意識を失って全身がけいれんする、手や足がピクッと動く、突然動作が止まりぼんやりする―などさまざまだが、多くは抗てんかん薬の服用でコントロールできる。
抗てんかん薬は、生まれてくる子どもに障害や発育の遅れなどの影響を少なからず及ぼすことが知られている。服薬しながらの妊娠・出産は無理だと考えている人もいるが、「妊娠・出産のリスクが一般の人と大きく変わることはありません」と渡辺院長は強調する。
ただし、妊娠前に患者、医師、そして患者を支える家族がよく話し合い、薬が与える影響などについて十分に理解することが大切だ。妊娠を望む患者には、より安全性の高い薬への変更や服用量の調整が行われる。「少なくとも妊娠の半年前、できれば1年以上前から計画的な準備を行う必要があります」
▽服薬は継続
妊娠中は服薬を中止したいと考える患者もいるが、飲まなければ発作が起こり、転倒などで早産や流産の恐れもある。「妊娠中も発作をコントロールすることが何よりも大切。自己判断で薬を中止、減量するのは危険です」
薬への不安が拭えない場合は、国立成育医療研究センターの「妊娠と薬情報センター」で相談するとよい。また、抗てんかん薬の中には、特に妊娠初期の胎児の正常な発達に必要な栄養素である葉酸の血中濃度を低下させるものがある。渡辺院長は、妊娠の可能性がある年齢の患者には、普段から葉酸のサプリメントを取ることを勧めているという。
妊娠・出産後も、てんかんのある女性が直面する困難は少なくないが、行政や民間の支援もある。渡辺院長は「やみくもに心配して妊娠を諦めたり先延ばしにしたりすることがないよう、積極的に情報収集して正しい知識を得てほしい」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/03/20 05:00)
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