治療・予防 2024/12/23 05:00
薬物療法が大きく進歩
~ぼうこうなどの尿路上皮がん(虎の門病院 三浦裕司部長)~
月経時以外や閉経後の出血を引き起こす子宮内膜増殖症。大阪市立大学医学部付属病院(大阪市)女性診療科診療部長の角俊幸医師は「子宮体がんが隠れていたり、細胞異型を伴う子宮内膜異型増殖症から子宮体がんへ段階的に進展したりするため、注意が必要な病気です」と話す。
異型の有無は命にも関わる
▽異型の有無が重要
子宮内膜増殖症は子宮内腔を覆う子宮内膜表面の腺構造部分(子宮内膜腺)が過剰に増殖した状態を指し、細胞の核に異型のないタイプと、異型が存在する子宮内膜異型増殖症に分けられる。
がんが併存するか進展する頻度は異型のない子宮内膜増殖症で1~3%、子宮内膜異型増殖症で8~29%と報告されている。角医師は「異型の有無は治療の選択はもとより、命に関わるため非常に重要です」と強調する。
月経時以外や閉経後などの不正性器出血の訴えがあれば、経腟超音波検査で子宮内膜厚を計測し、閉経前20ミリ以上、閉経後5ミリ以上の場合、組織検査を実施する。
子宮内膜増殖症と診断した場合、低用量黄体ホルモン療法(2週間投与と2週間休薬を1周期で3~6周期)を行う。一方、子宮内膜異型増殖症の場合は、がん併存やがん化のリスクが高いことから、子宮全摘出術が標準治療となる。
術中に迅速病理検査を行い、がんの有無を確認する。出産希望の患者には子宮内膜全面掻爬(そうは)とともに、組織検査で異型やがんの有無を確認する。12~24週間の高用量黄体ホルモン療法も行う。子宮全摘出術を行わない場合は再発リスクがあるため、3~6カ月ごとに組織検査を繰り返し妊娠まで経過を観察する。
▽ためらわず婦人科に
原因は明確にされていないが、子宮内膜増殖作用のあるエストロゲンと関係があると考えられている。リスク因子には、ピルや女性ホルモン補充療法(HRT)の薬、不妊症の薬、乳がんの術後ホルモン療法で用いる薬の使用などがある。肥満細胞からエストロゲンが分泌されることから肥満やメタボリックシンドロームなども因子になる。
角医師は「不正性器出血が一度でも起これば、特にリスク因子のある人はためらうことなく婦人科を受診してください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/04/04 05:00)
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