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近年リモートワークが広まる中、オンラインの会議や授業などでヘッドホンやイヤホンを長時間装着する人が増えている。移動中や作業中に音楽を楽しむ人も多いだろう。しかし、大きな音を長時間聞き続けると難聴のリスクを背負うことにもなるという。オトクリニック東京(東京都渋谷区)の小川郁院長に話を聞いた。
ヘッドホン難聴の予防策
▽若年層で増加傾向
大きな音にさらされることで起こる難聴は、工場の機械音や工事の騒音など常に騒がしい場所に身を置いている人が発症しやすい「騒音性難聴」と、予期せぬ爆発音やコンサート会場などの大音響が原因の「音響性難聴」がある。
ヘッドホンなどで大きな音を聴き続けることで起こる「ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)」は後者に当たる。じわじわ進行するのが特徴で、少しずつ両耳の聞こえが悪くなり、耳閉感や耳鳴りなどの症状が表れる。
一方、ずっと聞くわけではなくても大型自動車の騒音程度である80~85デシベル以上の音を、1週間当たり40時間以上聞き続けると内耳の蝸牛(かぎゅう)と呼ばれる器官にある有毛細胞が傷つき壊れてしまう。ヘッドホンなどから周囲に音が漏れるほどの大音量で音楽を聴き続けても、同様のことが起こり得るので注意が必要だ。
スマートフォンでの音楽視聴やオンライン会議・授業が普及したこともあり、世界保健機関(WHO)によると現在世界では若い世代のうち11億人が難聴リスクにさらされているという。
▽難聴防ぐ習慣を
有毛細胞が壊れる前であれば、連続して聞かず耳を定期的に休ませたり、音量を下げたりするなどの予防が可能だ。また、周囲の騒音を低減するために雑音をシャットアウトできるノイズキャンセリング機能の付いたヘッドホンなどを使用すると、大音量にしなくても快適に音楽聴取ができるので効果的だ。
大きな音を聞いた後に急に耳の聞こえが悪くなったときは、突発性難聴に準じ内服や点滴でステロイド剤による薬物療法が一般的な治療法だという。
小川院長は「聴力はいったん失うと元の状態には戻りません。重症化すると聴力の回復が困難になるため、違和感に気付いたら早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。適切な早期治療をすることが大切です」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/09/17 05:00)
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