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1歳未満の乳児が発症する「乳児ボツリヌス症」。国内での報告はまれだが、過去に死亡例もある。千葉大学医学部付属病院(千葉市)救急科の中田孝明教授に注意点などを聞いた。
乳児ボツリヌス症の主な初期症状
◇便秘や哺乳力の低下
ボツリヌス菌は土の中などさまざまな場所で生息する。乳児ボツリヌス症は腸管内で毒素が産生され、さまざまな症状を起こす。国立感染症研究所によると、1986年に国内で初めて発生して以降、2020年までに42例が報告されている。原因が明らかでない例もあるが、最も多いのが蜂蜜だ。
「蜂蜜の中のボツリヌス菌は、芽胞(がほう)という種のような状態で存在します。1歳未満の乳児の体に芽胞が入ると、腸管で発芽して増殖します」
乳児ボツリヌス症を発症すると、便秘のほか哺乳力が低下したり、全身の力が入らなくなったり、泣き声が小さくなったりする。その後、まぶたが下がる眼瞼(がんけん)下垂、脳神経まひ、首が据わらないなどの症状が出ることもある。まひが進むと人工呼吸器などによる治療が必要となる。
ただし、1歳を過ぎると発症の恐れはほぼない。「出生時の腸管内は無菌状態ですが、徐々に菌が増え、1歳を過ぎる頃に腸内細菌環境が整います。常在菌の大腸菌がいるためボツリヌス菌は増殖できません」と中田教授は理由を説明する。
◇無菌に近い状態で毒素を産生
ボツリヌス菌の芽胞は100度の加熱でも死滅しないため、▽蜂蜜を食べさせる▽お湯に溶かして飲ませる▽蜂蜜を含む加工食品を食べさせる―ことは禁物。これらを徹底すれば、リスクはわずかであり、過度に心配する必要はない。
「1歳未満で該当する症状がある乳児には、便に含まれるボツリヌス菌の検査を行います。子どもに気になる症状があれば、かかりつけの小児科を受診してください。ほとんどは対症療法で治癒します」(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/12/21 05:00)
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