治療・予防

過剰摂取、長期連用に注意
~市販薬の正しい使い方(東京薬科大学 成井浩二准教授)~

 薬局で手軽に購入できる市販薬。利用する人は多いが、「効果があるから」と大量に飲んだり、長期間使い続けたりすると、症状を悪化させることがある。市販薬の正しい使い方について、東京薬科大学薬学部(東京都八王子市)の成井浩二准教授に話を聞いた。

市販薬を正しく使う

 ◇飲み過ぎると症状悪化

 医師の診断に基づいて処方される医薬用医薬品に対し、薬局やドラッグストアで市販される一般用医薬品は患者が自らの判断で買う。それだけに、自分の症状を十分に把握して購入することが重要だ。

 「例えば、基礎疾患がある場合は鼻炎薬の使用に注意が必要です。緑内障や排尿困難があると、鼻炎薬の一部には緑内障を悪化させたり、尿の出を悪くしたりするものがあります」

 よくあるのが薬の使い過ぎ。点鼻薬は即効性が高く、鼻詰まりに効果的だが、1日に5~6回という制限がある。それを超えて使用すると、粘膜が分厚くなり逆に鼻詰まりを起こしやすくなる。

 便秘薬の一部には長期間飲んでいると耐性が生じ、同じ量を飲んでも便意を催さなくなり、慢性化してしまうものがあるという。

 「薬に頼り過ぎないこと。便秘薬に頼る前に水分を十分に取り、食物繊維の多いものを食べ、運動をする。習慣を改善することが第一です」

 ◇なじみの薬局を

 自分に合った薬を選ぶには、薬剤師に相談するとよい。「電車通勤の人なら、駅近くの薬局などでなじみの薬剤師を見つけるといいでしょう。医薬用医薬品も市販薬も同じ店で買えば、体の情報を知ってくれているため適切なアドバイスをもらえます」。相談の際は〔1〕現在の症状〔2〕それはいつから始まったか〔3〕今までに同じ症状になったことはあるか〔4〕基礎疾患の有無―といった情報を伝えるとよい。

 一方で、「インターネットの情報は望ましくありません。情報過多になり、一般の人には正確な判断が困難です」。また市販薬には添付文書があり、「してはいけないこと」「相談すること」「副作用」「用法、用量」など重要な情報が書かれているため、「捨てずにきちんと読みましょう」。

 「市販薬を飲んで具合が悪くなったら、薬局に問い合わせを。市販薬を購入したらお薬手帳にメモを取っておくと体調管理に役立ちます」と成井准教授は助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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