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イタリア、ギリシャ、スペインなどの地中海沿岸地域で食べられている伝統的な料理「地中海食」が健康食として注目されて久しい。練馬総合病院(東京都練馬区)の柳川達生院長は「生活習慣病の予防に効果が期待できる地中海食を、和食を中心とした日々の食事に取り入れることで、健康寿命を延ばすことも可能です」と勧める。
地中海食を取り入れた健康和食
◇マグネシウム不足解消
地中海食は、魚介類、野菜、果物、ナッツ、豆、全粒粉の穀類、オリーブ油などをふんだんに使うのが特徴。特に、取り過ぎると体に悪いといわれる飽和脂肪酸を多く含む肉類が少なく、体に良いとされる不飽和脂肪酸が豊富なオリーブ油や、抗酸化作用がある野菜や果物などを多く取ることで健康効果が期待される。
糖尿病の治療に詳しい柳川病院長は、地中海食に多く含まれるマグネシウムと食物繊維に注目し、患者には日本人になじみのある野菜、豆、種実、海藻、魚介類、キノコ、イモを食べるように勧める。
ミネラルの一つであるマグネシウムは、酵素の働きを助け、多くの臓器が正常に働くためには欠かせない。体内で合成ができないため、食べ物から摂取する必要がある。マグネシウムが不足すると、インスリンの分泌が減り、血糖値が下がりにくくなる。
「近年、2型糖尿病が増えているのは、マグネシウムを含む食材を十分に取らなくなったことが原因の一つと考えられます」。マグネシウム不足が長期化すると、高血圧や不整脈、心疾患などのリスクが高まるとも言われている。
◇糖尿病の改善効果も
食物繊維については、「水溶性と不溶性の両方を意識的に取ることが大切です」と柳川院長。水溶性食物繊維は、和食でよく食べられる海藻やこんにゃくなどの他、果物などに豊富に含まれ、血糖値の上昇を遅らせたり、腸内のビフィズス菌をはじめとする善玉菌を増やしたりする。腸内細菌叢(そう)のバランスが良くなるとGLP―1というホルモンの分泌が促され、糖尿病の改善が期待できるという。
一方、不溶性食物繊維は野菜、豆、キノコなどに多く含まれ、腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にしたり、排便を促したりする効果がある。
「地中海食は心血管疾患などの発症や死亡のリスクを下げる健康的な食事です。それぞれの食材を組み合わせ、日本人になじみのある和食に上手に取り入れるとよいでしょう」(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/03/25 05:00)
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