治療・予防

「黄信号」ともさぬように
~手前の「プレフレイル」で対策を(東京大学高齢社会総合研究機構 飯島勝矢教授・機構長)~

 加齢とともに心身の機能が低下した状態「フレイル(虚弱)」と、その手前の「プレフレイル」。多くの人がこれらをへて要介護状態に陥るが、その手前の「プレフレイル」段階で対策を取っておくと、健康な状態に戻れるとされる。東京大学高齢社会総合研究機構(東京都文京区)の飯島勝矢教授・機構長に話を聞いた。

指輪っかテスト

 ◇高齢者の半数が該当

 高齢者10人に1人がフレイル、5人がプレフレイルとされる。「要介護を赤信号とすれば、フレイルは黄信号。黄信号がともらないよう、プレフレイルのときに対処するのが大切です」

 プレフレイルの人は▽歩く、動くといった身体機能の低下▽「理由もなく疲れたような感じがする」「生活に充実感がない」など心理的な活力低下▽外出の回数が減るなど、社会とのつながりの低下、といった問題を多かれ少なかれ抱えている。

 対処の方法は、「栄養」「運動」「社会参加」の三つが欠かせない。「栄養」は、筋肉量の維持に重要なタンパク質や骨を強くする牛乳、乳製品を積極的に取る。「運動」には、日常生活の何気ない動作も含まれる。「社会参加」は、「誰かと食べる」「誰かと歩く」が重要だ。

 ◇自分の弱い部分を確認

 飯島教授らは、市民を「フレイルサポーター」として養成する制度づくりを自治体に提言してきた。講習を受けたサポーターは、住民のフレイル具合をチェックするなどの活動を行う。サポーターもチェックを受ける人と同年代の65歳以上だ。

 「サポーターは、栄養、運動、社会参加に関する11項目からなる『イレブンチェック』や、筋肉の衰え(サルコペニア)を知る『指輪っかテスト』などの担い手となります」

 その上で、「フレイル、プレフレイルを確認するのは自分の現状を知るためで、病気探しではありません。弱い点の対策を続ければ、半年後のチェックで改善しているでしょう」と飯島教授は助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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