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麻疹(ましん、はしか)は、麻疹ウイルスによる感染症。子どもの病気という印象が強いが、「近年は、むしろ“大人のはしか”が問題視されています」と、こどもとおとなのクリニック パウルーム(東京都港区)の黒木春郎院長は話す。
麻疹の基本情報
◇症状が出ないことも
日本人の約95%は麻疹ウイルスに免疫(抗体)を持っているとされる。特に2006年から未就学児童のワクチン(麻疹・風疹混合ワクチン)の2回定期接種が行われ、麻疹の報告数は激減した。
現在、海外からの「輸入感染」で広がった例を除き、国内では麻疹ウイルスが排除されている。19年には630件が報告されたが、新型コロナウイルス感染症の流行で海外との往来が制限された20~22年は、麻疹の年間報告数はいずれも一桁になった。
「今は小児の患者はほとんど見なくなりました。一方で、世代的にワクチンを2回接種していないため免疫が不十分だったり、時間がたって免疫が下がったりした人が感染する例が増えました」
典型的な症状は、ウイルス感染後10~12日間の潜伏期間を経て、発熱やせきなどに続き、口の中の粘膜に小さな白い斑点が表れる。さらに全身に赤い発疹が出て、発熱が1週間ほど続く。
しかし近年は、「免疫は持っているが不十分な人が感染し、発熱や発疹のタイミングが違ったり、典型的な症状が出なかったりして、知らずに感染を広げた例も目立ちます」。
◇合併症が起こりやすい
有効な治療薬はなく、感染した場合は対症療法で回復するのを待つ。麻疹の感染が疑われる際は感染拡大を防ぐため、まずかかりつけ医師に電話し症状を説明する。
合併症が起こりやすい点にも注意が必要だ。「抵抗力が弱まり、他の細菌やウイルスの二次感染が起こりやすくなる。肺炎や中耳炎、まれに脳炎などの重篤な病気が起こることもあります」
唯一の予防法はワクチン接種で、生涯で2回の接種が必要。「0~1回しか接種していない人、医療従事者、教育関係者、接客業など、不特定多数の人と接触する機会の多い人は、追加のワクチン接種を勧めます。また、海外の麻疹が流行している地域に行く場合、渡航前にワクチンを打つことを推奨します」と黒木院長は強調する。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/07/25 05:00)
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