治療・予防

舌が腫れてぶつぶつ
~イチゴ舌(日暮里医院 石山敏也副院長)~

 喉の痛みを訴える子どもの舌が赤く腫れて、イチゴのようなぶつぶつができていたら「イチゴ舌」かもしれない。

 「イチゴ舌の症状が見られる場合、ほとんどのケースは溶連菌感染症です。3~12歳ぐらいのお子さんに多い病気ですが、大人でも感染します。ただし溶連菌感染症のすべてのケースでイチゴ舌が表れるわけではありません」と日暮里医院(東京都荒川区)の石山敏也副院長は説明する。

痛みやかゆみなどはない「イチゴ舌」

痛みやかゆみなどはない「イチゴ舌」

 川崎病も似た症状

 イチゴ舌は特徴的な症状だが、舌そのものに痛みやかゆみ、飲食時の違和感などがあるわけではない。症状の出方にも個人差があるため、軽度の場合は舌の症状に気付かず受診するケースは少なくないという。

 「症状が強く出ている場合は、イチゴ舌をきっかけに受診される患者さんもいます。溶連菌感染症はイチゴ舌だけでなく発熱、喉の強い痛み、全身の赤い発疹などの症状も同時に出るため、それらがきっかけで受診して、イチゴ舌に気付かれるケースが多いです」

 溶連菌感染症以外に、イチゴ舌の症状が出る病気は川崎病だ。他にも発熱、発疹、リンパ節の腫れなど、溶連菌感染症と同じような症状が表れる。「溶連菌の熱は3~4日で治ることが多いのですが、川崎病の場合、高熱が5日以上続くため、熱の出方が両者を見分ける大きなポイントです」。また、川崎病は4歳以下の子どもで発症するケースが多い病気だ。

 ◇薬は飲み切ること

 溶連菌感染症は、A群溶血性連鎖球菌という細菌が原因で、飛沫(ひまつ)か接触によって感染する。このため予防にはうがいと手洗いが大切だ。感染した場合、一緒に暮らす家族とはタオルや食器を分ける方がよい。

 治療は抗生物質が使われる。10日間分処方されるが、服用を始めて2~3日で熱が下がり、イチゴ舌や喉の痛みなども徐々に改善するため、薬を途中でやめてしまう人が多いという。「服薬を中断すると、溶連菌を完全に排除することができず、腎炎やリウマチ熱などの合併症につながる危険性があります」

 学校は10日間休む必要はなく、適切な抗菌薬の使用開始から24時間が経過して、熱が下がり元気を取り戻したら登校してよいと学校保健安全法に定められている。

 「溶連菌感染症は命に関わるような恐ろしい病気ではありません。しかし、合併症の危険性が潜んでいるため、症状がよくなった後も処方された分の薬は飲み切ることが肝心です」(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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