風疹〔ふうしん〕 家庭の医学

[原因]
 飛沫(ひまつ)感染により、鼻やのどから侵入する風疹ウイルスの感染で起こります。春に流行し、幼児・学童が多くかかる病気でしたが、今では成人が9割を占めています。2018年、2019年には2000人以上の感染者の報告がありましたが、2020年以降は減少しています。一度かかると、一生免疫が得られます。

[症状]
 潜伏期は2~3週間です。発疹(ほっしん)は顔面に出現し、1~2日でくび、胴体、さらに手足へとひろがります。はしかの発疹に似ていますが、色が薄く、3日で消えて色素沈着や皮がむけることはありません。半数の患者に発疹と同時に発熱をみとめ、3~4日続きます。
 耳のうしろやくびのリンパ節がはれるのも特徴です。頻度は少ないですが、合併症として血小板減少性紫斑病(血液の血管外への出血をとめる作用のある血小板が減少し、皮膚に点状出血があらわれる:紫斑病)、脳炎があります。また、妊娠3カ月以内の母親がかかると、児に心臓病、白内障、聴力障害などのある、先天性風疹症候群が発生します。

[治療]
 通常は特別な治療は必要ありません。予防(予防接種)したり、妊娠女性が風疹にかからないよう注意したりすることが大切です。風疹は学校感染症に指定されており、発疹が消失するまで登校(園)停止です。

【参照】感染症:風疹

(執筆・監修:自治医科大学 名誉教授/茨城福祉医療センター 小児科 部長 市橋 光
医師を探す