2024/11/06 05:00
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以前、人気ドラマ「ドクターX」で、悪役の傲慢(ごうまん)な医師が患者さんからセカンドオピニオンを切り出され、激怒するシーンが描かれたことがあります。
「自分の診療が信用できないのか」というわけです。
当然フィクションなのですが、視聴者の中には、これがリアルな姿だと思う人もいるのではないか、と私は不安になりました。
患者さんからセカンドオピニオンを切り出され、医師が激怒するというのはドラマの中だけの話です【時事通信社】
セカンドオピニオンという用語自体は広く知られているものの、その実態はあまり知られていないからです。
◆検査も治療もない
セカンドオピニオンに行ったのに、検査も治療もされなかった、と不満を感じてしまう人がいます。
セカンドオピニオンは通常の診療とは異なり、オピニオン(意見)を聞くために用意された場です。よって、何らかの検査が行われることはなく、薬が処方されることもありません。
紹介元の主治医が用意した診療情報提供書をもとに、別の医師が意見を述べ、これを患者さんが参考にするのが目的です。
従って、保険が利かず、自費で数万円かかります(価格は病院によって異なります)。
他の病院に紹介されて治療を受ける「転院」とは全く異なることに注意が必要です。
◆診療情報は必須
セカンドオピニオンを求められた医師は、紹介元で行われた検査の結果や治療内容を見て初めて、自分の見解を述べることができます。
この診療情報がなければ、何かを判断、助言することはできません。
患者さんの中には、「自分の病状は自分で説明できる」と考える人もいるのですが、残念ながら専門家同士でなければ正確な情報共有は不可能です。
セカンドオピニオンに行く際は、主治医に診療情報をまとめてもらった上で、事前にセカンドオピニオン外来の予約を取ることになります。
何も持たずに自由にセカンドオピニオンを受けられるわけではないのです。
◆主治医に切り出す方法
セカンドオピニオンは、主治医の方針を否定するものではありません。
「事前にできるだけたくさんの情報を集め、納得して治療を受けたい」という気持ちを遠慮なく伝えればよいでしょう。
主治医の立場からすれば、もしセカンドオピニオン外来で自分と異なる治療方針が提案されると、自分の提案する治療方針の根拠を改めて説明する良い機会が得られます。
治療方針について、より深く患者さんに理解してもらえる点で、これは一つのメリットと言えるでしょう。
逆に、セカンドオピニオン外来で同じ治療方針が提案されれば、患者さんはより安心して治療を受けることができるはずです。これもまたメリットです。
◆十分に理解し上手に利用を
なお、私はここでセカンドオピニオンを必ずしも「推奨」するわけではありません。
前述の通り、それなりに高額を要します。
また、セカンドオピニオンによって「主治医と全く異なる見解」が聞ける可能性は高くありません。
実は77%のケースで、セカンドオピニオン先の医師の考えは主治医の考えと一致する、とされているからです(*)。
医師は一般的に、現時点で最も確度の高いエビデンスに基づき、世界的に推奨される方法を患者さんに提案します。これらの方法は診療ガイドラインとしてまとめられ、このガイドラインは年々更新されています。
医師同士で推奨される治療が同じである可能性が高いのは、それが理由です。
ただし、疾患人口の少ない希少疾患なら、その限りではありません。
治療に関して、まだ世界的にも確たるエビデンスがない疾患であれば、それぞれの医師の経験に基づいて異なる助言がなされることもあるでしょう。
いずれにしても、セカンドオピニオンを受けるときは、その目的や流れを十分に理解し、上手に利用していただければと思います。
*参照サイト「セカンドオピニオン活用術」
(2023/06/07 05:00)
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