治療・予防 2025/04/16 05:00
画像で効果見定めて治療
~がんの「セラノスティクス」(藤田医科大学病院 白木良一病院長)~
小さな傷でも、出血が止まらないと慌てるもの。止血は体に必須の仕組みだが、血管内に血液の塊(血栓)ができる血栓症は異常事態だ。静岡社会健康医学大学院大学(静岡市)の浦野哲盟副学長に原因や予防策について聞いた。
肺動脈血栓塞栓症
◇血液が固まりやすく
代表的なのは、ふくらはぎの静脈に血栓ができ、血流で肺に運ばれて動脈を詰まらせるケース。「肺動脈血栓塞栓症」と呼ばれ、命に関わる。
血栓ができるのは、血流、血液、血管のいずれかに問題がある場合。例えば、飛行機や車内で長時間同じ姿勢で座っていると、脚の血流が悪くなる。大量に汗をかいた脱水状態やコレステロール値が高い状態では血液がどろどろになり、固まりやすくなる。
血液凝固因子の「フィブリノゲン」や、血栓が溶けないように働く「PAI―1(パイワン)」の量が多い場合も血液が固まりやすい。フィブリノゲンやパイワンは、体のどこかに炎症があるときや、肥満、高脂血症、高齢者、閉経後などで増える。
◇水分補給で脱水防ぐ
血管内に血栓があるかどうかは外見では分からない。「片側の脚が腫れて、痛みや赤みがある、ふくらはぎが突っ張るといった症状があれば、受診を勧めます」
血栓ができないようにするには、足首の曲げ伸ばし、適度な運動、水分の摂取などの予防対策が重要。特に夏は冷房を適切に利用し、小まめな水分補給を心掛けたい。「寝る前にもコップ1杯の水を飲むとよいでしょう」
血栓リスクが高い人は、足首から段階的に圧迫する弾性ストッキングを着用する方法もある。「持病で『血液さらさら』の薬を処方されている人は服薬を続けてほしい」と浦野副学長は呼び掛ける。
肥満や動脈硬化、歯周病などの「軽い炎症」を改善し、パイワンの量を下げておくことも重要だ。食事や運動といった生活習慣の改善も血栓症の予防につながる。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/06/23 05:00)
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