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自己免疫性肝炎は中年以降の女性などに発症する病気で、近年患者数の増加が報告されている。その背景や治療法について、帝京大学医学部付属病院(東京都板橋区)消化器内科の田中篤教授に話を聞いた。
正常な免疫機能(左)と自己免疫性肝炎
◇患者数が3倍に
初期症状は全身の倦怠(けんたい)感や疲れやすさなど。ただ、多くの患者は症状がなく、健康診断で肝機能異常を指摘され、医療機関を受診して診断されるという。一方、急な激しい倦怠感や黄疸(おうだん)で発見されることもある。診断を確定するには、肝臓の組織を採取して顕微鏡で観察する。
もともとの体質に、何らかの誘因が加わって発症すると考えられている。「肝臓で自己免疫反応が生じるとみられます。細菌などの外敵を攻撃する免疫系が誤って自分の細胞を攻撃し、肝細胞が障害を受け炎症が起きます」。肝炎が進行すると、肝硬変、さらには肝がんのリスクとなって命に関わる。
厚生労働省研究班「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」(2016年)では、自己免疫性肝炎の患者数は推定約3万人。04年時点では推定約9500人だったので、3倍に増加した。16年の男女比は1対4と女性の方が多いが、男性も増えている。
田中教授によれば、患者数の増加と男性の増加の背景は共通するという。医師の認知度が高まり、診断されるケースが増えたことと、自己免疫反応を起こす人が増えた可能性を指摘する。
◇薬で治療を続ける
治療法としては、免疫反応を抑えるステロイド剤を内服する。そうすると、肝機能検査が基準値内まで改善する。「内服を続けて、その状態を長く保つことが目標です。副作用の骨粗しょう症、糖尿病などに注意しながら使用します」
ステロイド剤が副作用で使えなかったり、途中で効かなくなったりすることもある。その場合は、免疫抑制作用のある他の薬への変更で、「8~9割の人はコントロールできます」。ただし、他の薬にも副作用のリスクはある。
「今では自己免疫性肝炎が原因で亡くなることはほとんどありません。主治医とコミュニケーションを取り、治療を続けてください」と田中教授はアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/09/27 05:00)
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