自己免疫性肝炎〔じこめんえきせいかんえん〕

 細菌やウイルスなどが体内に侵入した際、これを攻撃して排除しようとする反応が免疫です。通常、免疫は自分のからだを攻撃しませんが、まちがって攻撃するようになった病気が自己免疫性疾患です。肝臓の細胞のうち、からだに必要な物質をつくったり、有害物や不要な物質を解毒、排泄したりする機能のある肝細胞が攻撃される病気が、自己免疫性肝炎です。
 自己免疫性肝炎は中年の女性に多く発症しますが、最近では男性や高齢で発症する人が増加しています。また、通常は慢性肝炎を発症し、治療をおこなわないと肝硬変に進展しますが、最近は急性肝炎と同様の肝炎を発症する場合も多くなっています。このため急性肝不全の成因としても重要です。
 自己免疫性肝炎では抗核抗体や免疫グロブリンのうちIgGが高値になります。これら免疫異常がみられる場合は自己免疫性肝炎が疑われますが、確定診断には肝生検による肝組織の顕微鏡検査が必要になります。
 治療には免疫を抑制するために、副腎皮質ステロイドを内服します。最初は多めの量を内服し、数カ月かけて少しずつ減量しますが、その際、ウルソデオキシコール酸を併用すると、減量が円滑に進みます。減量中に肝炎が再燃した場合は、アザチオプリンも併用します。アザチオプリンは血球減少などの副作用が出ることがありますので、事前に副作用が出やすいかどうかの遺伝子検査をおこなって、投与量などを決定します。
 以上のような治療で、自己免疫性肝炎の患者さんは大部分で肝炎をコントロールできるようになりました。しかし、高齢になると肝がんができる場合があります。HBV、HCV感染に比較してリスクは低いのですが、肝がんのスクリーニング検査は生涯必要です。
 なお、自己免疫性肝炎は難病医療費助成制度の対象疾病(指定難病)で、肝硬変にまで進展している場合や、肝障害が中等症以上の場合には、医療費の公費負担対象になっています。

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