2024/12/18 05:00
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9月には各地で防災訓練が行われます。30年以内に高い確率で巨大地震が起こると言われているものの、実際に自分が対策をしているかと問われると、自信がない方も多いのではないでしょうか。非常用持ち出し袋も詰めてはいるけれど、中身の確認はしばらくしていないというケースもありそうです。災害というと、2011年の東日本大震災の記憶が強く残っているので、津波の心配に注意が向きがちですが、関東大震災のときには火災の被害も大きかったことを考えると、水だけでなく火に対しての対策も必要になります。それらを踏まえ、災害に必要なメンタル面の知識をまとめてみました。
関東大震災から100年となった今年9月1日、東京都や横浜市など9都県市による防災訓練が行われた=相模原市
1.楽観バイアスに注意
リスクが叫ばれても対策が遅れがちなのは、「楽観バイアス」という心理が働くためでしょう。非常持ち出し袋の用意や点検がおろそかになりがちなのも、避難訓練にいまひとつ気が乗らないのも、このバイアスが原因と言えます。「自分だけは大丈夫」と思い込む、根拠がない安心感を意味します。
これまで自分や家族、親しい人が自然災害を経験していない場合、「自分が被害に遭う確率は低い」と考える傾向があることが、2000年にアメリカの竜巻による被災地調査で分かっています。さらに、竜巻による大きな被害を受けた町の住民でも、被害から1カ月もたたないうちに30%の人が同バイアスを持っているという報告があるのです。
楽観バイアスは不安から心を守るための心理と言えます。心が傷つくのを防衛してくれるのです。半面、防災への備えをおろそかにしてしまう傾向もあります。不安でストレスが強くなるのは困りますが、防災対策が遅れるのも見過ごせません。やはり、実施可能な対策を取って不安をなくすというステップが大事と言えます。
2.「様子見」のリスク
非常ベルが鳴ったとき、すぐ行動するでしょうか? 多くの方はすぐに行動を起こさないものです。「もしかして誤作動かも」と思い、様子見をする場合が多いのではないでしょうか。人には「目に見える危険」がないと避難しないという心理があり、これがリスクを高めることもあります。つまり、増水や津波では実際に水を見ないと避難を開始せず、火災では煙を見ないと避難しないという傾向があるのです。
その遅れが生存のリスクとなります。火災の生存者調査では、高層ビルで火災警報が鳴った場合、避難を3分以内に開始した人が生き残ったといいます。この3分という数字は生存のリミットだとされています。確かに警報の誤作動はしばしばありますが、その際に訓練だと思ってやってみるのもいいのではと思います。
3.非常口を事前確認
職場や住まいの非常口はどこにあるか知っているでしょうか。また、その非常口を通ってみたことはありますか? 非常口の表示があっても普段使ったことがない場合や、非常口を通るとどこに出るか知らない場合、人は緊急時にその非常口を使いたくないという心理が働くとされています。使った経験がない非常口から出ていくのが不安で、知っている場所から出ようとします。
そのため、緊急時は自分が知っている通路を通ろうとしてリスクを高めたり、入る際に使った入り口から出ようとして殺到したりします。普段から、非常口がどこにあり、どこに通じているかを知っておくと緊急時の対策になります。また、火災発生時にパニックになると、煙を避けて逃げるのではなく、煙を乗り越えて進もうとする心理になりやすいとされています。注意が必要です。
4.行動手順を想定
防災対策ではスクリプト、つまり行動の台本を作ることが大事です。私たちは普段、買い物に出掛けたり仕事に行ったりするとき、持ち物や服装、利用する交通機関などを頭の中でイメージしますね。同じように、地震が起きたときの台本を作ってはどうかと思います。
まずパニックにならずに深呼吸する→部屋のドアを開けて避難通路を確保し、火を止める→机の下などに身を隠す→揺れが収まったら火元確認→ラジオ、テレビをつけ情報を得る―というように。家族との連絡手段・連絡場所などもスクリプトに入れる必要があります。自分のスクリプトを書き、それを頭の中でイメージしておくと緊急時に役立つはずです。(了)
(2023/09/05 05:00)
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