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朝なかなか起きられない、午前中は調子が悪い、立ち上がった時に頭がふらつく―。思春期にこのような状態が続くなら、起立性調節障害もしれない。大阪医科薬科大学(大阪府高槻市)小児科の吉田誠司助教に話を聞いた。
起立性調節障害の症状
◇自律神経の働きが不調
自律神経には、血管を収縮させたり、心臓の動きをコントロールしたりすることで血圧を調整する働きがある。起立性調節障害は、こうした自律神経の働きが不調になる。
横になった姿勢から立ち上がると、重力の影響で血液が下半身に集まるが、自律神経の働きで下半身の血管が強く収縮し、下半身の血液が心臓に戻りやすくなり、血圧が回復し、脳への血流も保たれる。ところが「自律神経の働きが悪いと、血液が下半身にたまりやすく、脳血流が減少してめまいがするなどの症状が表れます」
特徴的な症状は、朝起きられず、午前中調子が悪いこと。立っていると気持ち悪くなる、頭痛、乗り物酔いなどの症状が見られることもある。ただし「夕方以降は自律神経の働きが良くなり、症状が治まることが多い。楽しみなイベントがある日などは朝から元気なこともあります」。
◇治療で8割が改善
起立性調節障害は10~16歳で発症することが多い。中学生では約10人に1人にあるとされ、不登校の原因になることも。「長期欠席状態の子どもの3~4割が起立性調節障害との報告があります。怠けていると誤解され、本人も罪悪感を持ち、登校しにくくなります。『この病気では』と思ったら、小児科などで診察を受けてください」
この病気は、本人と保護者がよく病気を理解することが大切。治療は「生活習慣を整える非薬物療法、中等症以上ではさらに昇圧薬、漢方薬などの薬物療法を行います」。治療により中等症では、1年後に半数、2~3年後に約8割が良くなるという。
生活習慣の工夫として吉田助教は、ゆっくり立ち上がる、水分や塩分を取る、睡眠を十分に取る、体をできるだけ動かすことなどを勧める。
「家族や学校など周囲の方が体の病気であることを理解し、安心して過ごせる環境をつくることが大切です。登校できない場合でも、一人でも学校の友人と連絡できると不安が和らぎ、良い結果につながるようです」(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/01/07 05:00)
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