Dr.純子のメディカルサロン

今冬は気分低下とだるさに注意
~気温急変が悪影響~

 今年の冬は天候が定まらず、急に寒くなったかと思うと翌日は12月とは思えない気温になったりし、体調不良を訴える方が多いようです。病気ではなくても「だるい」「やる気が起きない」という声をしばしば聞きます。

 この季節は毎年、日照時間が短くなると気持ちが落ち込む「季節性感情障害」が起こりやすいとされています。冬季うつと呼ばれます。今年はこうした障害だけでなく、急激な気温の変化で自律神経の調整がうまくいかず、体調を崩す方も多いので、無事に乗り切る対策をしっかり立てておくことが大事です。

(文 海原純子)

 冬季うつの症状は、気分の落ち込みの他、過眠や炭水化物の過食が起こりやすくなるなどが特徴ですが、原因ははっきりしていません。ただ、神経伝達物質のセロトニンの減少と関係があり、概日リズム(体内時計)をつかさどるメラトニンというホルモンの分泌の変化とも関わりがあるとされています。

 ◇対策

 心身の不調を防ぐ対策として次のような行動をお勧めします。

晴れた日の朝は窓を開け、太陽の光を浴びよう(イメージ)

晴れた日の朝は窓を開け、太陽の光を浴びよう(イメージ)

 1.太陽を味方に

 午前中に太陽に当たる時間をつくりましょう。ちょっと寒いものの、起きたらまず窓を開けて太陽の光を浴びてください。体が冷えないように注意しながら、特に晴れた日は積極的に窓を開けてください。午前中に太陽に当たると14~16時間後に脳内にある松果体からメラトニンが分泌され、眠りに入りやすくなるのです。体内時計の乱れを防ぎ、夜の寝付きを改善することで睡眠の質を確保してください。

 2.昼休みは戸外で

 昼間の天気が良ければ戸外で過ごす時間をつくってください。太陽の光に含まれるバイオレットライトは目の網膜のOPN(オプシン)5という光受容体を活性化するのですが、OPN5は脳波を含めた脳機能に影響し、うつや神経系の治療に有効な可能性が示されているそうです。さらに、網膜にあるOPN4は昼に太陽の光を浴びるとメラトニンの分泌を促し、夜の睡眠を促してくれるとされています。

 3.体を動かす

 歩いたりストレッチしたりして体を動かすことは、気分をうつから守る大事なポイントです。体が疲労しているときは休息が大事ですが、デスクワークなどで座りっ放しになると、体を使っていないのにだるくて疲労感を感じます。体を動かすと気分が動きます。晴れた日は外を歩き、天気が悪いときは室内でストレッチをするなど、体を動かすメニューを作っておくといいでしょう。仕事や家事の合間にほんの少し、体を伸ばしたりする習慣をつくってはいかがでしょう。私はストレッチ用のゴムを用意して背中を伸ばしたりしています。

 4.バランスの良い食事

 食事を見直してください。メニューのバランスを整える必要があります。食べる順番は、まず最初にサラダや酢の物などの前菜、次に魚や肉などでたんぱく質を、最後にパンやパスタなどで炭水化物を取ると過食を防止できます。温かいみそ汁やスープを最初に飲むのも過食の防止には有効です。鍋物はバランスの良いメニューになります。
 また、食後にカモミールのハーブティーなどを飲むと気分が落ち着きます。気分をすっきりさせたいときはミントのハーブティーも効果的です。仕事の帰りについ甘いものを買い込んでしまう習慣をなくすことも必要です。甘いものを取りたいときは、アガベシロップなどを使ったり、寒い日は蜂蜜とショウガの飲み物や甘酒などにしたりすると体に優しい飲み物になります。

 5.自律神経を調整

 気温に適応して体温を一定に保つために、自律神経は絶えず働いています。夜寝る前や緊張した時間を過ごした後、深呼吸をして交感神経を緩めてください。夜、お風呂に入ってゆっくり体を伸ばすのもいいでしょう。お風呂にエプソムソルトを入れたり、好きな香りの天然の植物から作られたアロマオイルなどで鼻の粘膜から香りの刺激を脳の辺縁系に伝達したりすることも自律神経を整えるのに役立ちます。(了)

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